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    yowailobster

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    20211004 同じ家の鍵持ってるけど毎日一緒にはいられないくらいの二人 でも鍵はやたらじゃらじゃらしてる お土産って言ってあれこれあんまり可愛くないの買ってくるから お互い文句言いながらつけてて可愛い ところでタワマンの鍵ってじゃらじゃらさせていいのか?まあいいかじゃらじゃらさせていいところに住まわせれば(力業解決)

    ##明るい
    ##全年齢

    ようやくの幸せ あらゆる手段を尽くし恋人の座に収まってから早数年。これだけ経過して一応(二本以上の骨折を含む)派手な喧嘩は一度も無く別れ話も出ていないのだからそれなりに仲睦まじい二人と思って良さそうだがしかし。
    「あれ、居る」
     彼相手だと何故だろう。そう言いきるのも躊躇われる。
     居たら悪いかここは僕の家だと返すのはとても容易いがそもそも滅多に帰ってこないのは事実なうえ皮肉と悪意を込めた言葉が果たしてランガに刺さるかどうか。他の人間ならいざ知らずこんな物で彼は動かない、むしろ動かれては困る。そうだねごめんねと素直に謝られては一方的に癇癪を起こしたようで居心地が悪いし「そっか」といきなり旅支度を始め「じゃあね」で飛び出されでもしたら今夜一晩中を説得にあてねばならない。既に数度体験済みだがアレは心底精神に悪いので回避したいところ。
     ただもう少し反応を、例えば会いたかったの一言くらい求めても罪にはならないのではないか。共に居た時間も許された距離も愛し合う二人のそれに充分合致した筈だ。それなのにどうしてこんなにも変化が無い。
     悶々とする内に無意識に作っていた思考の檻を「――」名を呼ぶ小さな声が壊した。戻った感覚がさらりと揺れる水色を捉えたかと思えば体をやわく人の体温がしめつける。服越しに深く肌と、呼吸を合わせたまま数秒、もしくは数分。体感だけなら数時間以上そうしたのちランガは身を離しふうと息を吐いた。面持ちは清々しく頬は桃色に染まりどことなく完食直後を彷彿とさせる、そんな顔で彼は微笑み、僕は理解する。どうやらまた大切な何かを間違えかけていたらしい。乱れた心はいつの間に凪いでいた。どちらも彼のせいでどちらも彼には秘密なまま取り戻した元の形は、より深く濃く色づいた、けれど初めて会った時から何も変わらないたったひとつの。
    「おかえり」
    「ただいま」
     君って僕のこと好きなのか。言えば驚いたように少し目を丸くして「いまさら」とランガが呟いた。そうだよ。今更気付いたんだ。
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