ぽつぽつ。そう聞こえた気がして片手を伸ばしてみると冷たい雨が降り始めていることに気が付いた。久しぶりにミスタとの外出だってのにツイてないな。
「ミスタ、これは相当降るぞ、家まで走るか?」
「げっ、天気雨かよめっちゃ晴れてんのに。まあ濡れて困るもんもないし歩いて帰ろうよ」
おそらく二人揃ってずぶ濡れになると思うが、ミスタが良いなら良いか、そう思って他愛ない話を互いにしながら歩いた。
「そういえば日本ではこの天気のことを狐の嫁入りと呼ぶんだ」
「狐の嫁入り?狐が結婚したら雨が降んの?」
「そういう訳ではないと思うがことわざの一種だろうな」
少しミスタが悩んであっ、と声を上げた。
「そういやさ、猿の誕生日とも言うよね」
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