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    Shrimp_Syako

    @shrimp_syako

    ニャーン

    手をつけるのに時間が空きそうなラフ、特殊嗜好の絵、掌編小説とかをぽいぽいします
    攻めを食い散らかす受けが好き

    Pixiv→https://www.pixiv.net/users/21739069

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    Shrimp_Syako

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    お題引用元
    ・ワードパレットガチャ
    https://odaibako.net/gacha/2844

    ##C翼(文)

    ジェン葵へのお題:魔法のような/サンダル/夜
    ---
     サンダルを履く日に焼けた素足ばかり目に入る。おれはなんども人にぶつかりかけるのだけど新伍はさんざめく人波をするする抜ける。手を握っていなかったらたぶんとっくにはぐれていた。おれたちは人のいないほうへ、だれもいないほうへ、静かなほうへ、暗いほうへ、自然と踊り出、それでやっと向かい合った。


    ジェン葵へのお題:陽だまり/戻ろうとして/コーヒー
    ---
     戻れるのならばそれはたしかに戻りたいけれど肝心の戻るべき場所はわからなかった。どうしたって、結局最後はこうなるにちがいない。
     おまえのいるところはぜんぶ陽だまりだ。どす黒くうずまくコーヒーのおもてすら、きらきらさせる。
    「ジェンティーレ、おれ、結婚するんだ」
     こんなふうに。


    ジェン葵へのお題:コチニールレッド/怖い/真冬
    ---
     カシスのジェラートによく似ている、真っ赤ではないよなあ、という、なんとも煮え切らない赤色をしたマグカップ。新伍の手の中におさまっているそれはもうとっくに空だった。それでもなお口をつけながら、「怖いよ」とだけかぼそく呟く。
     なにが、とは言わなかったのだが、新伍は続ける。
    「なんでいまこんなところにいるんだろう、おれ」
     短いまつげに乗った雪があまりに重かったのか目を閉じて、頭をゆるりと振って、それでこっちに倒れてくるのを、おれはなんともなしに抱きしめた。今は真冬だから。人は寒さと飢えには勝てないものだから。それは否応なしに心をささくれ立たせるに違いなかった。
     だからおれは暖炉に火を灯さない。


    ジェン葵へのお題:アラーム/満面の笑み/はしゃぐ
    ---
     じりじりじりじり--
     甲高い、うるさい起床のアラームが鳴って、時計を止めようと伸ばした手がやわらかいものに触った。伝わってくるあたたかさ。ひとだ。目が、かっと醒める。「おはよ」先に起きただろうにまだすこし眠たげな、どうしたって聞き覚えのある声。
     心臓がおそろしく早うつ。
    「すごい目覚まし時計使ってるんだなァ」
     ああだめ押し。観念したジェンティーレがばっと顔をあげれば予想通り葵が目に入ってきた。そのずいぶん楽しそうなにこにこのほうは、想定外だった。
    「し、シンゴ、なんで、はっ、はあ?」
    「さすがに覚えてないわけないと思うんだけどなあ。ずいぶんはしゃいでくれちゃって」そう言って代わりに目覚まし時計を止める葵。ジェンティーレは目の前を横切った腕を思わず凝視した。歯形が散っていた。鬱血しているほどじゃないのが--三日と言わず一日すぎるかすぎないかで消えてしまいそうなほのかに赤いそれが--よけいに怖くて、ほかのところなんてとても見られない。首を背ける。
    「覚えてないんだ」
     葵の声はあくまでも平静な、普段どおりだった。
    「まあ、いまジェンティーレが考えてそうなことはなかったけど。この通り脱がされて全身さわられて噛まれて吸われて舐められただけで。いれたり、だしたり、そういうのは、どっちも、なんにも」
     それはそれで変態的すぎる!
     いよいよ耐えられなくなったジェンティーレはまた寝転がった。いっそ、汚物と混濁と泥濘のなかでぬたうっていたと言われたほうがまったくましだった。「うそだ‥‥」信じたくない。おれがこいつを食うなら、一方的な蹂躙であるはずだったのに。なんでそんなことに。まるで飼い殺しの畜生の交わりみたいな、もしくは精通していない子供がそれでも自慰をするような。そんなまね、おれが。こいつに。
    「いやだ、ありえない、おれは信じないからな‥‥」
    「ほんとだってば。いいから起きなよ。二度寝してもしらないよ」
     朝陽を受けて笑う、清潔なシーツにくるまった少年(実際はそんな歳でもないのだけど)の姿は苛烈な思想の映画のワンシーンじみている。


    ジェン葵へのお題:ぬいぐるみ/ダンデライオン/隣のクラス
    ---
     サポーターから受け取ったプレゼントの中にずいぶんとかわいいのがいた。ライオンのぬいぐるみ。金とも茶ともつかないいろの長毛。髭を留める紐に、首輪に頭に足のうらに、ひまわりの意匠。
    「見すぎ。考えすぎ」
     それを両腕で抱えた黒いたてがみの小猿が笑う。
    「おまえなんか、ダンデライオンでいいのにな」
    「だからさあ。そういう意味なんか無いんだって」
    「‥‥太陽に向かう花だろ」
    「それが?」
     にべもなし。
    「日本の漢字で書くと‥‥」
     うん、それで?
     じっと見つめてくる新伍の目に耐えかねて、おれは口を閉じた。


    ジェン葵へのお題:止まる/パジャマ/一歩後ろから
    ---
     小柄である新伍におれの寝衣のサイズが当然合うわけもないので、それに柄にもなくどきどきしたりして、ほんとに、もう、ばかみたいだった。思わず目がいく。後ろ姿をじっと見ては気づかれる前に視線を外すことをくりかえす。ときどき、ズボンがずり落ちないように手で押さえて引き上げているのが無性にかわいい。……いやかわいくない! そんなわけあるか! 冷静になってみれば、ただの、サイズの合わない服を着てる、みっともない、とっくに成人してるくせに顔も表情も体つきも子供みたいなこれっぽっちの男だろ。ぶんぶん頭を振ってそう思い込もうとして、やっぱりだめ。ああかわいい、好きだ、くそ、かわいい、って言葉を、ぎりぎり奥歯で噛みころす。(情けないのはおまえだよ)頭の中ではおなじみの金髪の男が笑っている――実際のところそんな言い方されたこともないが、いつだってそう聞こえていた――。
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    テーマ:魔法/宇宙
    過去二年分の部誌に掲載した小説です。あえて加筆修正をせずそのままの文章を使用しています。こうして改めて並べると、文章の書き方の変化やその時に影響を受けていたものがよくわかりますね…笑
    過去作品まとめ
    智紫国基

    ・魔法存在論議 ──── 二〇一八部誌 テーマ「魔法」
    ・星降る夜に ──── 二〇一九部誌 テーマ「宇宙」



    ─・─・─・─・─・─・─・─・─・─



    二〇一八 ──── 魔法存在論議



               魔法というものは果たして、
               この世に存在するのだろうか。



     そのような事を本気で議論しようとするのであれば、誠に不本意ながら少々学の足りない人間であると思われるかもしれない。それくらいは流石の僕とて、理解している。
    しかし、誰にだって、魔法が使えれば、と思う瞬間はあるだろう。



              そう。例えば、今の僕のように。





     僕は、中学生。今日の日付は、八月三十一日。これで、大体の方には何故僕が魔法を渇望しているか、察して頂けただろうと思う。
     …そう、全くもってその通り。僕の机の上には、未だ手付かずの問題集が積み上げられている。
     大体、今は「夏季休暇」期間ではないのか。休暇であるはずなのに、何故課題なるものが存在するのか。…などという事を今更嘆いても意味はなく。魔法が使えないのであれば、 6397

    しの@うる★

    SPUR ME2022/12/6更新。
    ず〜っとちまちま書いてる話(ちょっとしたきっかけから竜ちゃんが渚への恋を自覚する話with専属アドバイザーサクラさん)年内に終わらせたかったけど終わるかなぁ、と思い始めたので尻叩き用に冒頭だけ。
    でも年内に終わらないと思いますね!😎私がもう3人くらいいないと無理。
    1.こんなに好きなのにまさか自分がこんな早くに死んじゃって幽霊になるなんて、思ってもみなかった。
    でも幽霊になれてよかった。
    ずっと会いたかったあなたにようやく会うことができたから。
    そりゃあね、生きてる姿で会えたらもっと言うことなかったんだけども。しょうがないわ、死んじゃったもの。
    神様って、すごく意地悪なのね。



    死んでからの一年間、あの小さな島でずっと同じことの繰り返し、そりゃあお腹も空かないし眠くもならないけど、あーあ幽霊ってこんなつまらないんだわあって思ってた。テレビもラジオもないし、元々人里から離れた小さな島だから人間は誰も寄り付かないし。
    夜の海は真っ暗闇だし、退屈でたまらなかった。
    あたしもお父さまも何も変わらないのに、時間だけは毎日過ぎていって夜空に浮かぶ月の形も星の場所も少しずつ変わっていくのを眺めてたわ。
    1201