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    Leko_HB

    @Leko_HB

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    Leko_HB

    DOODLE↓以前書いた三上兄がプロチームのHCをしている時空のK2の話です。
    長くなったので前後編に分けます。

    https://poipiku.com/33325/7775933.html
    雪がとける日に(前編) 日本で一番雪が降ると言われるこの街の寒さは、僕にとってはなんてことないものだ。確かに寒くはあるが、道路は除雪され歩く道はあるし何よりコンビニや自動販売機で温かいものがすぐに買える。日本人は皆『田舎』と言うけれど、ロシアの山奥にある僕の実家を思い出せば大都会にすら思えた。
     
     ──この街に来たのはちょうど2年前になるだろうか。

     大学4年の卒業間近南郷大の監督に呼ばれ、下部チームで外国籍として契約を考えているというオファーが来たと告げられた時は本当に驚いた。その時の僕は丁度進路に迷っていた時期だった。バスケの強豪である大学の周りの皆は社会人チームに内定したり、教員免許を取って体育教師への道へと順風満帆に進路を決めていた。中でも高校からのチームメイトである圭悟は大学3年の時には既にプロリーグの上位チームから特別指定選手として声がかかり、既にプロのコート上で活躍し始めていた。他の筑波の皆も順当に各々の進路が確定した中、僕だけが宙ぶらりんのままだ。
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    Leko_HB

    DOODLE現パロプロ選手時空のコバサワです
    夏の渡り鳥 「頼みがある」、と珍しく小林が澤村に助けを求めてきたのは日差しが厳しくなりつつある7月の頭だった。
     プロリーグ所属の選手として活躍する小林と、『フリーランス』という名目で謎の仕事をいくつかこなしている澤村の関係は、恋人という名前をつけても良い間柄ではあるもののお互いの仕事に口を出すようなことはない。そんな関係の中で珍しいこともあるものだと、澤村が言葉の続きを促すと歯切れの悪い説明が小林の口から吐き出された。

    「つまり、スポンサーの商品持った写真撮ってインスタに上げろってことかよ」
    「……おそらく、そういうことだ」
     少しの間があって答えた小林の様子に、本当に理解してんのか、と呆れそうになった澤村だが高校時代からの付き合いで小林の時代錯誤な部分は重々理解している。プロチームに所属が決まった時にもチームの命令により宣伝用のSNSアカウントを半ば無理矢理作らされたのだが、スマホをカメラ付きの電話程度にしか捉えていない小林に定期的な更新が出来る訳もなく、初回の『アカウントを作りました』以降何の投稿もなく沈黙を保っている事を澤村は知っていた。しかし去年から移籍した先のチームは特に宣伝に力を入れているところで地元企業とチームの距離も近く、オフシーズン中の広報活動も仕事のうちだと先輩からも苦言を呈されたらしい。
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