かがやくもの 命が輝く瞬間がある。視界を眩ます刹那の閃光のようでもあり、希望に向かい永遠と伸びる軌道線のようでもあるそれを、俺は知っている。
「って、シスさん、聞いてます?」
「すまない。少々……考え事をしていた」
「急に『星が見たい』だなんて言い出したのは貴方でしょう? 人をこんな寒空の下に連れ出しておいてそれはないんじゃないですか?」
わずかに離れた街の明かりと、白く色づく木々だけを残した銀世界。耳が痛くなるほどの静寂の中で、俺の隣に立つ男の声はよく通る。鋭く切り裂くような、それでいてどこか温かさを覚えるのはこの声の主――カトルに寄せる想いが俺の中にあるからかもしれない。
カトルの依拠である星屑の街を訪れた俺は、夜も十分暮れた頃合いに彼を街からさほど離れてはいない山林へと連れ出していた。
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