【霜月の彼岸花】――ただ、もう一度
少し
ほんの一言
ソレを伝えるために
会いたい。
それも叶わない……。
……自分はもう
死人なのだから。。。
【霜月の彼岸花】
むせ返るような紅(あか)
足持ちに広がるのは、悲しい思い出ばかり蘇らせる、深紅の華。
この華畑にたどりついて一体どれほどの時間が過ぎたのか
……この場所には時を示す物が存在しない。
何時間
何日
何週間……
またはもう何百年……
自分でも感じ取ることができない、時が流れないこの場所。
自分自身、いつから此処にいるのかも定かではない。
華畑の中には仄暗い河がある。
浅そうに見える河だが、近づくと底が全く見透かせない程の漆黒色が顔を覗かせて、足元をすくませる。
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