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    syk_1529

    @syk_1529

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    syk_1529

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    🍜🥷🎍進展アリ

     今日はどこも傷がついてないんですね、という一言に自分の体を見回す。痛むところはどこもない。ミミズ腫れのようになってしまっている真新しい傷痕はあるけれど、治っているので痛みはない。
    「そっ、か…そういえばそうだね」
    「最近会ってないんですか?」
     ベッドに寝転んだまま、うん、と一氏くんの首へと手を回す。ぎゅっと抱きしめると、髪の毛にキスをされた。一度でなく何度も。その感触が心地よくて、「もっとして」と乞うと唇へと優しく押し当てられた。
    「今はテスト期間だから。その間は会わないって決めてるんだ」
     自慢をするわけではないが、成績は優しか取ったことがない。どうせ学ぶのなら首席で卒業するのも狙っている。テスト以外のことに気を取られたくなくて、その期間は義龍に会うのを控えていた。
    「俺とはいいんですか?」
     一氏くんがクスと笑う。こんな風に笑顔を見せてくれる人だったと知ったのはしばらく経ってからで、眉毛を下げて細い目を一層細めて優しそうに笑う顔がとても好きだった。
    「じゃあ…もう帰ろうかな」
     ご自由に、と一氏くんがわざとらしく返す。裸のままでベッドに寝ていて、帰るも何もあったもんじゃない。
    「本当に帰るよ?いいの?」
    「そんなこと言って、帰らないでしょう?あんた」
     ふふ、とおでこにキスをされる。打ち解けて頻繁にお互いの家を行き来できるようになった頃に気が付いた。一氏くんは口数は少ないけれど、代わりによくキスをする。普段は全然してくれないのに、ベッドの上では言葉以上にキスをくれる。薄くてひやりとした唇を当てられると、スゥと気持ちが良かった。
    「見抜かれてるなぁ」
     テスト期間が終わるまであと一週間。その間はここで過ごしてもいいな、と思った。一氏くんはオーケーしてくれるだろうか。料理は出来ないし片付けも苦手だして、何の役にも立てられないけれど、自分に出来ることをするからと言えば居させてもらえたりしないだろうか。
    「ねえ一氏くん、テストが終わるまで…ここに居てもいい?迷惑はかけない。昼間は僕も学校に行かなきゃだし、バイト先にも顔を出すから、戻ってくるのは夜だけだし。ダメかな?」
    「それは…」
     何か言いかけて、一氏くんが押し黙った。視線を逸らして何か考えている。予定があるのならやめておこうか、と口を開きかけた時。
    「明後日の土曜に鹿介と隆景が来るんです。鍋をやろうって。終わったらあいつらいつも泊まっていくんですが…部屋、見ての通り狭いんですけど、いいですか?」
    「…あ、……そっか」
     心がちくりとした。一氏くんの日常には自分がいないようで、自分は一氏くんの日常の一部にはなれていないのだと。自分だけが勝手に一方的に彼を好いているだけで、彼は自分のことを同じだけ好いてはくれていないのだろうか。もっとも、他に正式な恋人がいる自分が言えることではないけれど。
    「僕がいてお邪魔ならその日だけどこかに行くよ」
     声が上擦る。焦るな、と自分に言い聞かせてみても、笑顔を作れない。鼻の奥がじんと熱くなって、泣いてしまいそうになる。こんな身勝手な思いを押し付けて泣くなんて迷惑にしかならないのに。
    「あ、いえ…邪魔なんかじゃありません」
     泣きそうになっていることに気付かれたのか、一氏くんがぎゅうと抱きしめてくれる。「あんたがヒマだってわかってたら誘いました」本当に彼はとても敏くて、自分の考えていることをいつも読み取ってくれる。「あんたを除け者にしたかったわけじゃない。あんたに一言…誘う意気地のなかった俺のせいです」そしてとても優しくて、自分の不安をいつも取り除いてくれる。
    「ごめんね一氏くん。僕が勝手にネガティブな想像しちゃっただけ。きみのこと信じれなくて…情けないや」
     大丈夫だよ、と身を捩って腕を解かせる。見上げた一氏くんの顔は余裕なく焦っているように見えた。
    「いいんです」と一氏くんが頭を撫でてくれる。大きくて器用で頼もしい手だ。義龍様の手はもっと太くてごつごつとしていたな…と、彼のすらりとした長い指と比べてみる。
    「あんたがそう思うのも無理はないですから」
    「ごめんね…ごめんなさい」
     どうしてここまで他人に寛容になれるのだろう。たまたま出会ってたまたま関係を持って、お互いの素性も生まれ育った場所も知らない同士なのに。謝りの言葉と同時に涙が出てしまった。泣くたびに心配されるから、もう二度と泣かないと毎回誓うのに、その誓いは守れたことがない。
     一氏くんは自分をそっと抱いたままで、それ以上は何もしてこない。このまま眠りにつくのだろうか。疲れている様子はないし、さっき果てた後もまだもう一度出来そうな素振りだった。別に僕はしてもいいけど…と言いかけて、やめた。何となく、今日はもう何もしない方がいい気がした。
    「テストが終わったら、しばらく会えなくなるかも」
    「ああ…そうなんですね」
     何かを察したように、怪訝な顔をされる。どうしてわかるんだろう、と彼が一層愛おしくなる。これじゃあ、会えないのに会いたくなってしまう。
    「彼、今実家の稼業を手伝いに帰っててさ。僕のテストが終わってちょっとしたら戻ってくる。すごく荒れるだろうから、だから…」
     年に数回義龍は実家に帰って父親の仕事を手伝っている。人手がないわけではないけれど、いずれ継ぐのだからと父親に呼ばれ、しぶしぶ帰っている。ただでさえ親子関係が劣悪なのに仕事でも散々口を出された義龍が、穏やかでいられるはずがなかった。とはいえ実家では誰にそのストレスをぶつけることも出来ず、戻ってきて自分に当たり散らされるのはいつものことだった。
    「傷だらけできみに会いたくないんだ」
     今更だけど、と苦笑いをすると強く抱きしめられた。苦しいよ一氏くん、と声を絞り出すと、ああすみません、と咄嗟に力を緩められた。
    「心配させたくなくて」
    「すでに心配してます。あんたのことだから一人で部屋でふさぎ込むつもりでしょう?ベル押しても出てくれなくて、中からチェーンもかけて。そんなことくらい容易に想像がつきます」
    「うう…何でバレてるのさ」
    「あんたの行動見てりゃわかります」
     図星も図星、その通りで。前にやられた時もそうして部屋で誰にも会わず一人でいた。あの時はラインの未読無視をされると心配だからと利三がやって来て、無理矢理病院へ連れて行かれた。治療の間もその後寄った喫茶店でもずっと上の空で、口に含んだ紅茶の味は全く覚えていない。その時に出来た傷の一つが大きく腕に残っているけれど、どんな痛みだったかももう思い出せない。
    「出来るなら、あんたをそいつに会わせたくない」
    「無理だよ…それは、無理だ」
    「無理だとしても」
     自分のために本気で苦しんでくれる一氏くんがたまらなく愛おしくて、頭を撫で返してみる。長身の男性は頭を撫でられる経験が少ないから、撫でられると照れる…とネットか何かで見たことがある。彼もそうなのかな、というからかいも含めて撫でてみた。一氏くんは案の定、少し照れくさそうに「やめてください」と言った。
     更にわしわしっと撫でると、怒りますよ、と目で訴えれた。怒らないくせに。怒りますよと言いながら、怒られたことは一度もない。怒るとしても、自分の対してではなく義龍に対してか、または自身のふがいなさに怒っていた。全然そんなことないのに。いつだって彼は頼もしくって、ふがいないのは僕の方なのに。
    「いいんだ、慣れてるし。殺されるわけじゃないし。怪我は治るんだし、ね」
     慣れている、なんて言葉が出てしまう自分が嫌だった。そんなことに慣れたくなかった。もうどうしたらいいのかもわからなくなって、抵抗するのも馬鹿らしくなって。慣れている、いつものこと、と己に言い聞かせたら、少し痛みが楽になった。だから自分はそう思うことにしてきた。
     それなのに、今更また苦しくなってしまっている。自分が耐えれば済むことで、苦しいのも一時的なものだから、苦しいと思うことさえやめようと心掛けていたはずなのに、彼と出会ってからまた塞いだはずの傷がじくじくと痛みだした。もう、その痛みが何の痛みなのかすら自分にはわからない。いっそ彼から離れたらまた痛みを感じなくなるのかな、と考えたことがある。それでも、いくら痛くて苦しくても彼の元に足が向いてしまっていた。
    「慣れてる、だなんて」
     抱きしめられる腕の力が強まった。息がしにくくて苦しかったが、その腕をほどいて欲しくはなかった。
    「だって、慣れてるもの。もうずっとだから」
    「すみません。俺が、ここから──」
    「言わないで」
     短く、彼の言葉を遮る。そこから先は彼に言わせてはならない。優しい彼に続きを言わせて、彼までを苦しめたくなかった。
     ふ、と腕の力が緩まった。顔を胸に押し当ててくる姿に、泣いているのかな、と思った。
    「泣いてるの?一氏くん」
     僕のためなんかに泣かなくてもいいのに、と繋げると、彼は更にぐいと力を込めてきた。
     泣いているんだろうな、とわかった。泣き顔を見せないように顔を伏せているのだろう。ねえ一氏くん、と呼び掛けてみても返事がない。
    「ねえ一氏くん」
     もう一度呼びかける。顔を伏せたままで、「何ですか」と小さく呟いてくれた。
    「せっかく一緒にいるんだから、僕を見てよ」
     一氏くんの肩を押し上げ、上半身を起こさせる。ベッドの上にお互い向かい合うように座り、一氏くんの頬を両手で包んでじっと見た。本当に泣いていたようで、バツが悪そうな顔をこちらに向けてくる。赤くなった目元に、この人のために自分がしてあげられることは何なのだろうと答えを探した。
    「今くらいしかないんだよ?傷のない体の僕なんて。滅多にないんだから、よく見てよ」
     お互い下着もつけていない姿で向かい合っている。彼のたくましい体と比べるとなんて貧相な体なのだろうと自分の体を恨みたくもなるけれど、一氏くんには全てを見て欲しかった。
     黙ったままの一氏くんの体もよく見てみる。以前、引き締まった上半身はどうして?と聞くとライフル射撃をしていたと意外な答えが返ってきた。予想もしていない答えに目を丸くしていたら、ふふと笑われた。珍しいでしょう?ライフルが出来る学校なんて滅多にありませんしね。たまたま高校に部活があったんです。入ったのは、まあ…ミーハーな理由ですよね、俺も男子ですから。それからハマりこんで、猟銃の免許も取りました。休みの日はたまに依頼されて山にも行くんですよ。撃つのは猪や鹿とか…獲物を仕留めた瞬間の手応えはたまらないです。え、そっちの方に、ですか?強化選手に選ばれてて、卒業後も誘われたんですけど、俺はそれより身寄りが無いから金を貯めなきゃいけなくて…でもいいんです。ライフルを諦めたことは後悔していないし、今も猟で撃てますし、と身の上話も混ぜながら嬉しそうに喋っていたのを思い出した。それもあって鍛えているし、トレーニングは趣味なのだとも。がっしりとした肩からしなやかな筋肉で繋がれた上腕に、ワンポイントのタトゥーが見えた。高校卒業後に荒れていた時期があって、その時衝動的に入れてしまったのだという。こういうのがあるのってやっぱり苦手ですか?タトゥーとかピアスとか…そういうの嫌がられるとわかってて好んでやってるので何も言えないですけど、と拗ねた子どものように素っ気なく言う姿が可愛くて、「ううん全然」と答える前に噴き出してしまったのは出会って二度目の夜の時だったか。タトゥーは無理だけどピアスは僕も開けてみたいな、と言ったら即「似合いませんね」と返された。そのくせ、もし開けたいんなら手伝いますよ、とまんざらでもなさそうな顔をして。そんな風にもう何度も夜を共にして、見飽きている体だというのに、彼の体は何度見てもその度に新鮮で愛しかった。
    「…あんたは」
     黙っていた一氏くんの口が開いた。もう泣いてはいないけれど、言葉を選んでいるようで次の言葉が紡がれない。
    「あんたは?何?…ゆっくりでいいよ」
     一氏くんは口下手で、喋るのが苦手だ。本当はきっと喋りたいことをたくさん持っているのに、うまく言葉にするのが苦手に見える。言葉に出来ないから、出てくる言葉は短くてぶっきらぼうで。でも、彼の言葉はとても甘くて優しい。
    「あんたは、きれいだ」
    「え…?」
     そんなわけないよ、と慌てて頭を振る。こんな体が綺麗なはずがない。細くて小柄で色白で、おまけにもう消えることのない傷痕がたくさんある。誰が見たってみすぼらしい体で、自分は自分の体が嫌いだった。彼に体を見てもらいたいけれど、綺麗だと思って欲しかったわけじゃない。
    「きれいですよ、あんたの体は。俺が今まで見たどんな体より」
    「お世辞はいいよ。自分のことは自分が一番よく知ってる」
    「俺はお世辞は言いません」
    「……もう」
     今度はこっちが泣きそうになって俯こうとすると、ぐいと顎を上げられた。そのまま首筋、鎖骨、胸…と少しずつ印をつけるように口づけられる。
    「ん…こそばゆいよ」
     もぞもぞと身をよじろうと、彼は止めてくれない。両の胸にキスをされた後、背中に腕を回され引き寄せられた。ちょうど一氏くんの胸に顔をうずめる形になり、彼の心音が聞こえてくるかのようだった。
    「あんたはきれいです。どんな姿でも、あんたはきれいなままだ」
     もし彼の心臓の音が聞こえたなら、その音は早鐘のように打たれているのだろうか。逆でなくて良かった、と安堵した。きっと逆だったら、自分の狂おしいほどの動悸が彼にバレてしまう。
    「……ありがとう」
     一氏くんの胸に顔をうずめたまま、ふとした未来が頭をよぎる。彼に心配をさせることなく、彼と共に歩める未来が。そんなことは可能なのだろうか、と瞬時にその未来を否定した。できるわけがない。義龍と別れられるとは思えない。もしかしたら別れることはきっと簡単にできることなのかもしれないけれど、どうしてもその選択を今まで選べなかった。義龍を独りにしたくなかった。彼もまた孤独を抱えていて、自分がいないと誰が彼の手を取るのか。
    ──じゃあ、一氏くんは?
     一氏くんの手は、一体誰が取るのだろう。彼もまた孤独だ。親友や幼馴染と彼の周りにはたくさん人がいるけれど、彼の手は誰と繋がっているのだろうか。自分が去った部屋で、彼は今まで通りの当たり前の日常を過ごす。その独りきりの日常は、果たして彼が本当に望んでいる日常なのだろうか。
    ──あの時一氏くんは、どうして僕の誘いに乗ったのだろう。
     彼もまた独りでいることを寂しいと感じていたからではないのか。もしかしたら自分でなくて誰でもよかったのかもしれないけれど、自分が声をかけなければ彼は今も独りで日々を過ごしていたのだ。
     あんたを受け止めたいから、あんたのそばにいる、と言われた。自分の思いを全て受け止めてくれる彼の思いを、自分は受け止めているだろうか。
    ──今度は、僕の番だよね。
     恩返しをしなくっちゃ。ずっと僕の我儘を聞いて僕のそばにいてくれた一氏くんに、僕はもらった分を返さなきゃいけない。
     義龍と一氏、どちらかしか選べないとなった時に、もう義龍様だと即答できなくなっている自分がいる。つまりはそういうことなのだ。これ以上誤魔化し続けられない。決断をしなかったのも、ずるずると関係を断ち切れず彼を泣かせることまでしていまったのもまた自分なのだ。
    「一氏くん」
    「はい」
    「あのね…」
     勇気を出せ。僕は彼の思いに応えなきゃいけない。
    「僕、頑張ってみるよ」
     内定をもらっている会社の研修で、秀吉という同期と仲良くなった。最初の研修の時に手に巻いていた包帯と額に貼った絆創膏を目ざとく見つけられて問われた。うまく隠していたはずだったのに、一瞬チラと見えただけのことを彼は記憶していて聞いてきた。それから、彼と話を幾度かした。まるで自分のことのように怒ってくれて、別れた方がいいと何度も言われた。就職はいいチャンスなんだから、黙って引っ越して連絡先も変えてしまえ、と。それは出来ない、実家に帰れば会う機会はある、行方をくらますことはできない、といくら首を横に振っても、彼はしつこく言ってきた。それだけ心配なんだ、と出会って間もなくてお互いのこともよく知らない同期になぜここまで親身になれるのかわからなかったけど、彼はそういう人なのだと話しているうちに理解した。
    「もう逃げない。うまく出来るかわからないけど…」
     義龍から逃げることは出来ない。だけど、そばにいることも出来ない。別れを切り出したら、激高されるだろう。捨てられることを何より恐れる彼が、そう易々と自分を手放してくれるとは思えない。
    ──それでも、僕は…。
     顔を上げる。一氏くんの顔をしっかりと見る。もうこれ以上、彼に寂しい顔はさせたくない。
    「卒業したら、引っ越すことにしてる。その時に……別れようって言ってみるよ」
    「あんた…」
    「うまく出来るかわからないよ?無事じゃすまないと思う。それでも、僕はやってみるよ。……って一氏くん?!」
     今までされたことのないほどの強い力で抱きしめられる。苦しいよ、と声をどうにか絞り出してもほどいてくれない。恋愛ドラマではとても良いシーンだろうに、お互い裸のままで抱き合っていることが何だか滑稽に思えて、自分が監督ならせめてシャツくらい着せて撮るのにな、と冷静になってしまった。
    「待ってます。俺、あんたを待ってますから」
     一氏くんの表情はわからない。だけど、顔を見る必要はなかった。
    「といっても、まだしばらくあるし、今すぐという話じゃないよ。そうだな…あと一ヶ月くらいかな。それまでは今まで通り」
    「構いません。一ヶ月くらい、大した時間じゃない」
     一ヶ月。その間に何が起きるのだろうか。相変わらず義龍様は暴力的で、手を上げられるたびに一氏くんのところに逃げこんで、たくさん愚痴を言って、たくさん抱いてもらって。そんな一ヶ月なのだろう。
    「ごめんね、僕のせいで」
    「謝らないでください」
    「僕は」
     きつく抱きしめたままの腕を無理矢理緩めさせ、彼と向き合う。この言葉は目を見て言わなくちゃいけない。口に出したくても躊躇っていた言葉。僕には今まで覚悟が出来なかった。
    「きみの隣で生きたい」
     笑いかける自分の顔が、彼の瞳に映った。今僕はどんな顔をしているのだろう、と覗き込もうとすると、唇に唇を重ねられた。返事の代わりにくれたキスは、今までのどんな口づけよりも柔らかかった。
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