月面都市コペルニクスで出会う幼少期アスカガの話①朝のピークを過ぎた駅構内は人影がまばらだ。けれど、切符売り場だけ混んでいるのは休日だからだろうか。
学校課題に必要な資料を探しに行こうと、キラと待ち合わせた中央図書館。その約束と古物市の日程が被っていることを知ったのは、約束の前日だった。
滅多にやらない古物市は掘り出し物が多く、絶対に行きたかった。けれど早朝からの市にキラをつき合わせるのは気が引けて、現地で待ち合わせることにしたのだが。……やはり、キラと一緒にハルマさんの車で送って貰えば良かったかな。
ややげんなりした気持ちで順番を待っていれば、頭上では駅のアナウンスが流れている。何度も聞いたそれは、特別警戒体制の知らせだ。そういえば、地球のとある国の要人が来ているんだったか。出かけに見ていたニュースでそんなことを言っていた気がする。確か、オーブという国の……。
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