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    サケブンダト

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    サケブンダト

    DONEちょっと前に書いてたダグキリです。特殊設定でそこまで書いてないですが、バレリーノのダグさんと人魚のキリルくんのお話で、こちらが出会い編ではなく、知ってるけどちょっと気取った挨拶をしてるようなお話です。
    『あんたと一緒に』Into the ocean, with you.
『美術館に行きたい』と彼は、誘った。

    『原石は磨くまで価値が見えない、でも磨き抜かれたものには必然と価値がつく。それらは時間が経てば経つほど価値を失うものと、価値を見出される歴史に染められるものがある。』

     そう告げられて、もう一ヶ月も経つのに耳にこびりついたみたいに拭えない。室内なのに吐く息が白く、息切れも止まらずに汗が気持ち悪いほど滴った。ダグラス・ビリガムは筋トレのマシーンから降りて、呆然と窓の外を眺める。この後待ち合わせがあって、本当なら気持ちを落ち着かせるために、早く現地へ行っておきたい。
     でも、ひどく足は重くシャワールームへ向かうのも億劫に思えた。自分のしなければいけないことは分かっていても、生きている時間に心が追いつけずに置いてけぼりを食らっているような。いや、どちらかと言えば苦手な給食の野菜が食べられなくて、周りの人間に早く食ってもらわないと困ると睨まれたまま、時間を過ぎていくような感覚に近い。
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