「上手い文章」って何?少なくとも私は、継続的に絵を描き続けているのに全く上達しない絵描きなんて見たことない気がする
でも、字書きは何故か、たくさん書けば書いただけ上手くなるというわけではない
自分も昔と比べて上手くなってる気は全然しない
なんでなんだろう、不条理だ~
そもそも「文章が上達する」って何なんだろうか
それが分からんのでは、上達してるかどうかも分からんわなそりゃ
何??
「文章」じゃなくて「小説」ってなると、話の面白さとか構成の仕方とかまで入ってくるから更にややこしいけど、これは「絵」じゃなくて「漫画」と比べるべきか
絵は上手いのに漫画おもろない人とか、文章しっちゃかめっちゃかなのに小説としては面白い人とかいるしな
別軸だよなやっぱり
まあ「上手い絵」ってのも何なんだって言われたら難しいのかな?
私は絵のスタート地点のレベルがすごく低いから「デッサンやパースが狂ってなければとりあえず上手い」くらいに思ってるけど、絵を描ける人にとってはそんな事は当たり前の最低ラインで、もっと違う所に上手さの基準を置いているのかもしれない
私基準の「絵が上手い」って要は「物の形や位置関係が正しく描けている」だから、文章に置き換えたら「事実関係が読者に正しく伝わるように書けている」くらいでしかないな
自分がクリアできてるかどうかは別として(笑)、それは確かに字書き目線で言うたら、できて当たり前の最低ラインだ
――と、そのような事を調べたり悶々と考えたりした結果、
①誤字脱字をしない・基本的な5W1Hが過不足なく書ける
②長さやテンポの適切な調整ができる
③語彙や比喩表現を使いこなしてより細かい表現ができる
この辺までが「文章の」上手さなのかなぁと結論しつつある
これを絵(とりあえず線画だけのイメージ)に置き換えたら、
①デッサンやパースの正確さ
②描き込み具合やデフォルメ度の調整
③ポーズ・表情・背景などで描きたいテーマを更に補う
みたいな感じかなって
そこから先は「小説」「漫画」の域だからまた別の話で
たとえば
④起承転結の作り方
⑤キャラの魅せ方
この辺は小説と漫画で共通、
⑥小説における各章・節・シーンごとの文章量の分配=漫画のページ配分やコマ割り
といった具合かと
絵や漫画は描けないので完全に雰囲気で喋ってますけども
でも、①から順に完璧にできなきゃ魅力的な作品が作れないかというと、そんなことは全然なくて……
たとえばカイジなんかは、素人目に見たって①も②も一般的な商業漫画の最低ラインを割ってるけど、③~⑥で十分やっていけてる
初期ネウロに至っては主要人物の顔すら安定して描けてなかったからもっと酷いと言ってもいい、でも面白い
進撃の巨人も、初期は落ち着いて見ないとどれがどのキャラクターなのかの判別すらできない所があるし、デッサンもめちゃくちゃ、でも面白い
あと逆にNARUTOは、①~②は美大で教材にされるほど上手いし、④⑤も上手いから私を含む沢山の人がハマッたんだろうけど、③と⑥は同じくらい売れてる他の漫画家に比べるとちょっと微妙な気がする
単体の絵は飛び抜けて上手いのに、登場人物の目が死んでるように見えたり、何してんのかよく分かんないコマがあったり、妙にテンポが悪いシーンがあったりする
小説もそういう側面あると思うんだ
例えばリアル鬼ごっこ、あれは純粋な文章としては読めたもんじゃないレベルだと個人的には思ってるんだけど、小説としての面白さでバカ売れしたから、メディアミックス作品が乱発するとこまでいった
あれまさにカイジやネウロの小説版だと思う
でも、いくら中身が面白くても、絵柄や文体があまりに稚拙だと、それに気が散りすぎて読めない人もいる
私にとってリアル鬼ごっこはそれだった(だから漫画で読んだ、ごめんね作者さん)
あと、例えばジョジョは「中身は文句なしに面白い、絵も上手い、漫画も上手い、しかし絵柄の癖が異様に強い」
小説でも、日本語としてはハイレベルなはずなのに、文体の癖が強すぎて一部の人は読めないみたいなやつあるよね
字書きなのに具体例がパッと浮かばなくてお恥ずかしいのですけど……イメージだけで挙げるなら、三島由紀夫・村上春樹・京極夏彦あたりとか?
そういう「中身と関係ない所」で読者を失いたくなかったら、アイディアやストーリーに自信があっても、基本的な技術の習得や一般ウケに寄せる努力を疎かにしてはいけないし
「ついてこれねぇ奴は死ね! 残念だったなこんなに面白いのに! フハハ!!」という精神でやれるなら、体裁を整えるための基礎なんか捨てて中身に全振りしてもいい
それが創作ってこと……