花の正しい育て方 ぱしゃり、ぱしゃり。
杉下京太郎は屋上にある畑に水を撒いていた。一つ一つの植物たちへ、丁寧に。立派に育ちますように、そう願いながら。
特にこのトマトの苗には沢山かけてやろう、そう思い立ち水をやる。
トマトは黄色く小さな花を咲かせる。それがなんとも可愛らしく、密かに気に入っていた。
苗へ水をかけ終えた頃、肩をトントンと叩かれる。
振り向くとそこには杉下が信仰してやまない神様こと梅宮一が立っていた。
ぺこ、と頭を下げ挨拶をすると梅宮さんは「おう!杉下、今日も手伝いありがとうな!これ差し入れ!」と清涼飲料水を手渡してくれた。
少し休もうか、と梅宮さんに提案されその後ろをついて歩く。屋上に備え付けられている東屋へ向かい、梅宮さんが座るのを確認してから自分も席へ着く。なんとなく梅宮さんの斜め向かいに腰掛け、先程貰った飲料水に口をつけた。
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