夜の静寂に溶けて---
グッドネイバーの夜は静かだった。外のざわめきが遠のき、部屋の中には、互いの呼吸だけが響いていた。
ハンコックはベッドに仰向けになり、いつになく無防備な表情を浮かべていた。ヒューゴの指が、ゆっくりと彼の胸元をなぞる。
「なあ、ヒューゴ……今日はずいぶんと強引だな」
そう呟いたハンコックの声には、僅かに震えが混じっていた。だがヒューゴは静かに微笑み、彼の顎先を指でそっと持ち上げる。
「今日はあなたを、俺が甘やかす番だ」
その低く落ち着いた声に、ハンコックの喉が音を立てて鳴る。普段は自信に満ちた男が、今はその指先ひとつで翻弄されている。ヒューゴの唇が喉元に触れ、舌先で円を描く。ハンコックの背筋が小さく震えた。
「感じてるんだな……もっと、教えてくれ」
ヒューゴの声が耳元で囁かれるたび、ハンコックの身体がわずかに反応する。シャツがはだけ、細い腰が露わになる。触れる指は優しく、だが確かな熱を持っていた。
やがて、ヒューゴの指先がより深いところへと辿り着く。そこは、普段誰にも触れさせない場所。けれど今夜だけは、彼が許した。
「大丈夫、任せて」
ゆっくりと、慎重に、それでいて確実に。ヒューゴの動きは、ハンコックの反応をすべて見逃さずに導いていく。最初の小さな喘ぎが、徐々に甘く、堕ちていくような音に変わっていく。
「……っ、ヒューゴ……そこ、ヤバ……」
彼の指が、角度を変えるたびに快楽の波が押し寄せる。言葉にならない声が、ハンコックの唇から漏れ出る。それを見つめるヒューゴの瞳は、いつになく鋭く、情熱的だった。
やがて、準備が整うと、ヒューゴはハンコックの腰をそっと持ち上げ、彼の中にゆっくりと沈んでいった。
「……っ、奥まで……来てる……」
ハンコックはシーツを掴み、息を震わせる。だがヒューゴは一度その手を取り、指を絡めた。
「大丈夫、俺が全部受け止める」
深く、確かに。交わるたびに、ハンコックの表情が甘く崩れていく。ヒューゴはそのすべてを見逃さず、何度も、奥まで愛を注ぎ続けた。
汗ばんだ肌が擦れ合い、濡れた音と、喘ぎと、名を呼ぶ声が混ざり合う。ハンコックはついに声を上げ、背を反らせて果てた。
それでもヒューゴは、その身体を優しく抱きしめ、余韻の中でそっと囁いた。
「お前は……こんなに綺麗に感じるんだな」
ハンコックは息を整えながら、頬を赤らめ、わずかに笑った。
「……ちくしょう。癖になりそうだぜ、お前のこういうとこ」
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