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    ゆりお

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    ゆりお

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    ワンライ。お題「冬の装い」

    ##灼カ

    佐倉と右藤/灼カバ 年に一度の大雪が降った日の朝だった。ちょうど休みの日で、明日だったら小学校が休みだったのに、と残念に思いながら起床する。
    「佐倉ァ! 遊ぼうぜ!」
     幼馴染の右藤は膝まで積もった雪の中を平然とざくざく歩きながら、勝手知ったる様子で庭に入ってきた
    「おはようヒロ。早いね」
     呼ばれた佐倉はあくび混じりで縁側に出た。まだパジャマ姿だったので、褞袍の前を合わせて身震いする。
     右藤は鼻を真っ赤にしながら、元気よく声を出す。
    「まだ着替えてねーのかよ! 川見に行こうぜ! こんだけ寒けりゃ底まで凍ってんだろ」
     佐倉は顔をしかめて答えた。
    「冬に川に入っちゃダメって言われてるだろ」
    「バレやしねぇって」
    「危ないよ! 割れて落ちたらどうするんだよ」
    「お前は身体でけーからな。俺は大丈夫だけど」
     幼馴染は能天気に笑う。気が大きく楽天家。奔放な彼が言うことを聞いたことなんてほとんどない。
     佐倉が困り果てていると、部屋の中から祖母が出てくる。
    「あらヒロくん。来てたんねぇ」
    「佐倉んちのおばあちゃん! おはよー」
    「遊びに行くのかい?」
    「うん! かまくら作ろうって言ってて!」
     佐倉は視線で友を責めたが、彼はこちらを見もしなかった。
    「そうかい。今日は寒いからねえ。気をつけるんだよ」
    「はーい」
    「学も、ちょっと待っといで」
     祖母は一度部屋に入ると、毛糸の帽子を持って戻ってきた。
    「ほら」
     孫の頭に被せる。サイズはぴったりで、耳まで覆われて暖かい。最近祖母が編んでいたものだった。
    「いいなー! あったかそうじゃん!」
    「じゃあ次はヒロ君に編んであげようかね」
    「やったー!」
     幼馴染は素直に喜んでいる。何となく面白くない気持ちで、佐倉は部屋に着替えに戻った。
     服を着込んで庭に出ると、暇だったのだろう。右藤は雪玉を作って転がしていた。
    「うちじゃ雪足りないから、あっち行こうよ」
    「川行くって言ったじゃん」
    「かまくら作るんだろ」
    「えー」
     珍しく佐倉は頑なだった。
    「おばあちゃんに嘘はダメだよ」
    「ちぇー、わかったよ!」
     右藤は唇を尖らせたが、だだっ広い空き地の、まだ誰も触れていないまっさらな雪を見た時には、もう機嫌は直っていた。
     
            *

     大きいクッションに体を埋もれさせるようにして漫画雑誌を読んでいる幼馴染を呼ぶ。
    「ヒロ」
    「ん」
     特に何も言わずとも意図は読めたようで、彼は背筋を正して首を伸ばした。佐倉は、編んでいたマフラーを、まだついたままの編み棒に気をつけながら、その首に巻きつける。
    「どう?」
    「お前が編むマフラーは年々長くなってる気がするなぁ」
     右藤は、余った部分を手で遊ばせながら言う。
    「ついつい考え込むと長くなっちゃうんだよなぁ。もうちょっと短い方がよかった?」
    「まあでも、これもいいかもしれないな」
    「そう? なら伏せ止めしちゃうけど」
     右藤は編みかけのマフラーの端を持ち、佐倉の首に余った部分を巻きつけた。
    「ほら、カップル巻きができる」
     しばし、無言で見つめ合う。
     佐倉は真剣な顔で尋ねた。まなざしに少しだけ憐れみが混じっていた。
    「相手は?」
    「それは言うな」
     右藤もやっぱり真面目な顔でそう答え、温かくて良い、と感想を述べた。
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    somakusanao

    DONEココイヌちゃんがチェーン系列のフード店でデートするお話です。⑤カラオケ店
    カラオケ店はフード店じゃないというごもっともなつっこみは、心の中でお願いします…
    ココイヌデート⑤カラオケ店「九井さん! 来ました!」

     キッチンに衝撃が走った。
     九井さんは、べつにこのチェーン系列カラオケ店のマネージャーでもエリア長でもなんでもない。一般人である。たぶん一般人ではなく、おそらく関東卍會の、げふんげふん、いや、うん、それは確証がないし、考えないことにして、一般人ということにしておく。
     身なりからして金を持っているであろう彼だが、なぜかときどき当店をご利用される。そしてキッチンのストックを空にしていく。なにしろ九井さんはよく食べる。めちゃくちゃ食べる。マジであの細い体のどこに入っているんだというくらいのブラックホールだ。
     そのうえ九井さんはメニューをいろいろと楽しみたい方で、「トマトの海賊風チキンみぞれ煮バゲット添え」なんていう当店で三カ月に一回も出たことのないメニューも頼む。そのたびにキッチンはレシピはどこだと探す羽目になる。しかも、九井さんはたいてい一時間でご退室される。つまりスピード勝負なのだ。
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    somakusanao

    DONEココのすきなおにぎりを考えていたら、いつのまにか書いてました。
    ドラケンとイヌピーの話。
    おにぎりは作らないことになったので、タイトル詐欺です。
    そうだ、おにぎりをつくろう「ドラケン、おにぎりの具はなにが好きだ?」
    「うーん。鮭かな」
    「鮭か……。作るの面倒くせぇな」
    「待て待て。オマエがオレに作るのか?」 

     言葉が圧倒的に足りていない同僚をソファーに座らせて説明を求めてみたところ、「ココが忙しそうだから、おにぎりでも作ってやろうと思って」と言う。それはいい。全然いい。九井はきっと喜ぶだろう。

    「なんでオレに聞くんだよ……」

     乾は九井にサプライズをして喜ばせたいんだろう。それは安易に想像できる。
     だがしかし、イヌピー同担拒否過激派九井が面倒くさい。きっと今もこの会話をどこかで聞いているはずだ。最初の頃は盗聴器盗撮器の類を躍起になって探していた龍宮寺だったが、ある時期に諦めた。ようするに九井は乾の声が聞こえて、乾の姿が見られればいいのだ。盗聴器と盗撮器の場所を固定にしてもらった。盗聴盗撮される側が指定するっていうのもなんだかなと思いながらも、あらかじめ場所を知ったことで龍宮寺の心の安定は保たれる。ちなみに乾は中学時代から九井につねに居場所を知られている生活をしているので、慣れ切っている。
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