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    リゲル

    愛に苛まれる

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    リゲル

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    ブラネロ短文 怒ったネロとネロのことがとても好きなブラッドリーさんの話
    全年齢いちゃいちゃです

    無題お怒りになさった、このおっかなさを見よ。

    決まっている。険しい目つきになって、鋭いジト目でこっちを思いっきり睨んでくる。小さな口からは想像し難い怒鳴り声が発され、ただしそこに怒りの詳細は含まれていなくて、困っちまう。耳がキンキンする割には、どうも言葉が足りないが、その薄い唇は本当に悔しそうにわななくし、この場では兎にも角にも俺様が悪いことになっているので、さっさと降参した方が身のためた。

    しかし、適当な相槌と流し流されるような言葉で結ぶと、結局は包丁が投げられてくる。本当におっかないもんだ。そもそもどうして怒らせてしまったっけ。どうしてこんなにも悔しそうで悲しそうな顔をさせてしまったんだっけ。いつもおぼろけになっていて、ぽかんと、さっさと気の利く言葉がつっかえて出てこない。スマートとは程遠い。本調子など見当たらず。どうしたもんか。

    …やはり寂しいのだ。言葉は万能ではなく、時にまやかしにも化すが、それでも通じ合っていたかった。いつだってそうだったから、柄にもなく我儘を言ったのだろう。

    俺はネロに一歩近づいた。後ろに一歩下がるものだから、今度は二歩進んでやった。そしてあの、エプロンに包まれているほっそい腰を片腕でくるんで、片手で、その顔に、頬に、そっと手を当てる。少しだけ、愛でるように撫で下ろし、顎の先を持ち上げ、こっちと目を合わさせる。ギラリと光る夕焼けの瞳が、俺を咎めている。

    「悪かった」

    まずは、伝えなければ。そして、静かに口付けを落とす。

    唇が触れ、互いの輪郭が少しだけ歪み、ふにゃっと、くっついては離れる。ネロの顔が見たかった。話がしたかった。独りで置いてけぼりにされたくなかったんだ、焦ってしまって情けないが、要するに、嫌われたくないのだ。

    言えよ、俺がいないと、きっと参ってしまうんだと。

    ネロは頬を赤らめて、いや、耳まで赤くなって、俺を真っすぐに見つめていた。

    「バカじゃん」
    「バカやってたいんだわ、たまには」

    それで、今夜も共に過ごせりゃ他は望まないね。
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    44_mhyk

    MEMOネの裏切りと、フィが彼に与えた『制裁』と魔法舎に来てからの『赦し』それによる苦しみについて(妄想走り書き、ブラネロ仕様)「ありがとう、君の手引きのおかげでようやく彼をとらえられそうだよ」
     フィガロがうっそりと笑う。柔和な微笑みの、目の奥が笑っていない。無表情でにらみつけられるよりよほど怖い。
     ネロは震えた。震えは、眼前の男への恐怖でもあり、また、己のしでかしたことへの恐怖でもあった。
     限界だった、もう死の気配に震えながら彼を見つめるのは。
     それから逃げることを許されないのは。
     だから手を取った。簡単な話だ。もう限界を超えていたネロの意識は、彼が……ブラッドリーが、生きてさえいればいい、という極論をはじき出した。
     たとえそれが彼の生きがいと言ってもいい、自由と暴力を奪おうとも。
     ただ、生きてさえいてくれればと。
     それは、ただの自己満足で、自己防衛だった。そのことに、ここまできてしまってから気が付いてしまった。
     ああ、もう、だめだ。
     これで楽になれる、自由になれるとかろうじて割れずに保たれていた何かが、パキンと音をたてた。
    「何か、お礼がしたいなあ。何か希望はない?」
    「希望……、ははっ! 罠にかけなきゃあいつ一人捕らえられないようなあんたに、何を望むって?」
     怖い。
     唇がカタカタと 1668

    cross_bluesky

    PROGRESSパラロイ本(ブラネロ)の冒頭部分。
    CRITICAL ERROR 鳴り響くエラーメッセージ、動かなくなるボディ。辛うじて稼働していた聴覚センサーが最後に拾ったのは、見知らぬ男の声だった。

     高層ビルの真ん中を薄紅色の花弁が舞い、眩しい光と音に溢れたネオン街──フォルモーントシティ。そこでは人間の他に、アシストロイドと呼ばれる人の手によって作られた機械たちが暮らしている。
     整備と機械化の進んだハイクラス・エリアとは違い、階級社会の底にあるワーキングクラス・エリアには治安の悪い場所も決して少なくない。法の目をかいくぐった非合法な店が立ち並ぶ中、管理者不明のアシストロイドたちはメンテナンスもされず、ただ使い捨ての道具のように各々の役目を全うすべく働かされていた。
     ──フォルモーント・シティポリスのもとに大規模な麻薬取引のタレコミが入ったのは夕方過ぎのことだった。ワーキングクラス・エリアの歓楽街の一角で、違法アシストロイドたちと引き換えに、隣接したシティから大量のドラッグが持ち込まれるという。人の形を精巧に模したアシストロイドは高値でやり取りされるのだ。特に違法アシストロイドは、人の心に取り入りやすいよう愛らしい見目をしているものが多いから尚更。
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