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    akaakine2

    @akaakine2

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    akaakine2

    TRAININGオモリボーイとアイスクリームのはなし。
    毎週オモボ小説のやつ。
    アイスクリームは楽しくないずっと、憧れていたんだ。



    「……あ」

    けたたましい音とギラギラ七色に光るライトを見にまとったアイスクリームトラックは向こうへ行ってしまった。ドップラー効果で変わる音色はオモリボーイの鼓膜を揺らす。窓から外を眺めていた彼は、小さな吐息を漏らしてそっと窓枠から手を離した。
    窓枠の下ではニャーゴがちろちろと腹を舐めていた。こちらを見ることもなく、ただちろちろと、ちろちろと。けれどオモリボーイは何もすることがなかったので、ただそれを空っぽの頭で見ていた。

    いつまでそうしていたのかよく分からない。そうやって空っぽのままでいられることが、オモリボーイは得意だった。いい意味でも、悪い意味でも。ニャーゴはすっかりオモリボーイに興味を無くして(いいや、きっとハナから興味などなかったのだろう)定位置であるブランケットの上で眠っていた。ここに時間なんて邪魔なものはないから、オモリボーイは自分がどれくらいの間空っぽでいたのか分からなかった。でも、多分、アイスクリームトラックが通り過ぎる前からずうっと空っぽで何も無いのだろうと、なんとなく理解していた。何せ、考える時間は邪魔なくらいあるから。
    1990