部屋には見慣れない家具が各部屋にあった。腰高の一人分ほどの小さな作り付けのベッドのようなソファのような、柔らかいビロード生地張りの椅子。壁の中に埋まるような作りで目立たないが手すりも付いており、どうやら彼専用の腰掛けのようだった。
オクタビオは小さな尻をそこへぽんと乗せ、慣れた手つきで義足を外す。よく見ればルーバーのある扉つきの天井まである造り付けの収納が多く、彼特有の必要なものが多くあるのだと想像できた。妙に空間が多く通路が広いのも、車椅子や担架が通れるような作りなのだろう。身体的にも医療的にもサポートが必要な彼ならではの間取りだと感じた。
「ん」
俺に向かって両手を広げるので、反射的に近づくと、飛びつくように首に抱きついてきた。軽くて驚嘆する。取り落とさないよう手を回すが、尻も小さい。こんな身体であのスピードを…想像もつかないが、身軽さは変わらない。
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