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    さき(供養用)

    @Saki_Kannazuki

    https://mobile.twitter.com/Saki_Kannazuki

    供養用

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    さき(供養用)

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    シャルぐだ♀生前捏造パロ。
    お互いの身分を隠して逢瀬する、王様シャルルと元王女ぐだちゃん。
    この後は大帝モードのシャルルがめちゃくちゃぐだちゃんを探してぐだちゃんが焦ったり、シャルルが戦利品の一つから「我らの王女(仮)」的な題名で花冠を作る美しいぐだちゃんの絵を見つけて察するとかって言う展開を考えたが疲れたので供養。

    無題「勝ち鬨をあげよ!ここはすでに、我らが領地なり!」

    びりびりと、大地を揺らす声が響く。物陰に隠れていたリツカも、その声が聞こえていた。

    ───ああ、我が国は負けたのだ。


    「はい、おつりね。いつもお使い大変じゃない?」
    「いえ、大丈夫です」

    はは、と愛想笑いで返し、紙袋とお釣りを貰う。
    今の私は、家政婦だ。

    「それにしても聞いた?昨日の夜、ここら辺でスパイが見つかったんですって。確か前に勝った……どこだったかしら?」
    「さあ、私も忘れてしまいました」

    本当は、一言一句覚えている。
    私の、なき祖国。表向きに見れば、歴史の中に埋もれる敗戦国。

    私はそこの、王女だった。

    「ただいま帰りました、奥方様」
    「いつもありがとうね。今日は……ポトフかしら?」

    主人の奥方が紙袋の中を覗く。

    「当たりです、奥方様」

    満面の笑みになる奥方様に礼をし、台所へ向かう。ポトフは時間がかかるから、日の落ちていない今からでも始めなくてはいけない。煮込み度合いが大事なのだ。

    「なあリツ、構えよ!」

    子供が一人、背中に突進してきた。
    今度は主人の子供だ。

    「御子息様、台所に入ってはいけないとあれほど……」
    「だってリツ、構ってくれないじゃん!」

    リツ、というのは私の偽名だ。本当の名はリツカなのだが、そちらの名は知れ渡っている可能性がある。先日のスパイの二の舞にはなりたくない。

    「後でたくさん遊びましょう?今はお食事を作っているんです」
    「……約束だからな!」

    少しごねるものの、聞き分けの良い子で助かった。安心して、煮込んだポトフに意識を戻す。

    「……」

    私は、きちんと話せているだろうか。庶民に相応しくない所作をしてはいないだろうか。うまく、取り繕えているだろうか。
    不安が胸に渦巻く。頭を振るい、その考えを一掃する。

    (私は王女。こんなところで、挫けてちゃダメだ……!)

    その心を忘れず、今はポトフ作りに集中した。


    「……んん……リツ……」

    御子息の頭を撫で、寝入ったのを確認する。

    「……」

    屋敷内を丁寧に確認し、そっと抜け出す。
    もちろん顔を隠すフードを忘れない。

    「はっ……はっ……」

    草原を、駆け抜ける。夜にだけ許された、私の自由。草を掻き分け、大地を踏み締め。
    この国と祖国の境界に向かう。
    ふと、風の流れが変わる。

    「……やっぱり、いつ見ても綺麗……」

    境界には、伝説の湖がある。綺麗な湖だ。伝説によればここに落ちると、幸せになるらしい。信じてはいないが、いつかお世話になるかもしれない。

    「……」

    祖国の方面を向く。

    草木は枯れ、見るに耐えない大地が広がっている。あそこには、たくさんの人がいたはずなのに。

    「ううっ……」

    息が苦しい。生理的な涙が、地面を濡らす。
    争いなんて、殺し合いなんて。

    「───大丈夫か?」
    「……っ!」

    声を聞き取り、すかさず飛び退く。

    「ああいや、怖がらせるつもりはなかったんだ」
    「……あなたは?」

    冒険者のような格好に白いマントを身につけ、白銀の剣を携えている。帝国騎士か、と思いフードを深く被る。

    「あっと……シャ、シートンだ!」
    「リツです」

    つい礼がお淑やかになってしまったがまあいいだろう。するとシートンは笑顔になった。

    「リツ、か。いい名前だ」
    「ありがとう。シートンも、いい名前だよ」

    リツは偽名なのだが、自分の名前の一部から取った。自分の名前を褒められているような気がして嬉しかった。

    「リツは、いつもここにいるのか?」
    「たまにね。シートンは?」
    「俺も」

    ふふ、と二人で笑い合う。なんだか初めて会った気がしなくて、話しやすい。
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