『メグ・スイレン博士・著 本当にあった出られない部屋』百十八ページ掲載事例のこと 目を覚ますと、知らない部屋の中だった。
殺風景な壁。特徴のない床。のっぺりしたシーリングライト。ざっと四十五平米のワンルーム。窓はない。ひとつだけのドアの上には、電光掲示板が取り付けられている。
寝かされていたダブルベッドから起き上がり、ドアに鍵がかかっていることを確かめた。鍵穴はないのに開かない。
深く息を吸い込む。
まず間違いないだろうという確信。感動が私を包み込む。
「ついに入れた!ここが出られない部屋だーーーー!!!!」
時間を少々遡る。
ネットオークションを徘徊していた私の目に、ある出品物が引っかかった。チケットだ。ライブやイベントのチケットではない。それの出品カテゴリは魔法道具だった。
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