未定それは至極真っ当な話だった。
部屋を片付けなさいと、シャアに言われたアムロは貴方にそんな言い方をされる覚えはないと返した。
まるで思春期の母と子の会話のようだが、二人とも三十才をこえたいい大人だ。
「アムロ、いつか片付けるだろうと思い今まで何も言わずにいたが、もう我慢の限界だ」
一応に譲歩をしたような言葉を含むあたりがシャアらしいな、とアムロは思ったが、そんなことをただの同居人である男に言われる筋合いはないと言い返した。
こんな暗い部屋で、とブツブツと文句を言いながらシャアは換気と光を取り入れようと窓際に行こうとしたが、床を埋め尽くすガラクタ(シャアから見れば)に行く手を阻まれた。
それに気付いたアムロは分かってないな、とでも言うように器用にガラクタの隙間を縫い、カーテンを開け、久しぶりに窓を開け放した。
風が窓から入り、埃が舞う。光を受けたそれがキラキラと窓の手前で揺れながら落ちていく。
二人ともひどいくしゃみに見舞われた。
アムロ、まずは必要なものと不要なもの、そして迷っているものの三種類に分けよう。シャアはそう提案し、アムロも納得して片付けに着手した。
しかし手分けして選別をしたにも関わらず、不要なものはただのゴミしか出ず、結局はこの部屋はアムロの作業部屋となり、アムロはひとまわり大きなシャアの部屋への移住が決まった。