恋する悪魔の進化論 俺の手の水かきは普通より大きいので、あんたと手を繋ぐとお互いとの間に距離が出来てしまうようで少しだけ寂しい。とはいえ酔ったときこれをレヴィに話したら「ノロケ乙。そんなこと言ったらぼくはどうなるのさ」と返された。あいつは海軍将軍よろしく誰と比べなくても水かきがデカイ。
「なんだ考え事か? 俺を侍らせておいていい度胸だ」
「違えってお兄様。ほら、あんたの熱で手ェあったかいぜ」
車道側の右手を軽く上げると、指を絡め合った俺とルシファーの手がそこにある。いわゆる恋人繋ぎをしたそれは、ここ数日で急に冷え込んだ魔界の空気の中で、温度的にも気持ちの上でも温かかった。
中略 メモなので
「は、近親相姦で中傷記事か。いつからお前らは天界住まいになった? とんだ悪魔的倫理観だ」
中略 メモなので
俺の手にはほとんど水かきがない。それをあいつは「指輪が似合っていい手じゃねえの」と羨ましそうだったが、俺は指輪をつけることはないだろう。理由は色々あるが寒い時期に限っていえば、手を繋ぐとき邪魔なものがあると互いの手に距離が出来てしまうようで、少しだけ寂しいからだ。