不機嫌な彼 ベッドの上であたしは膝を抱えて沈黙している。
なんでこうなったんだろう……。
久しぶりに入った仕事の後で疲れているのに。横になって暖かい布団で眠りにつきたい。それが出来ないのは今いる部屋があたしのではなく、獠の部屋だからだ。
チラっと、横目で獠を見ると左脚に肘をついて不機嫌な顔をしているのは当然だと思う。だってこの状況を作った原因はあたしにあるのだから。
「あーぁ、仕事も終わって獠ちゃんゆっくりと寝たかったのにな」
獠は隠すことなく言葉でも不機嫌さを現し始めた。
「わ、悪かったわよ! あたしだってこんなことになるとは思ってなかったし!」
「悪いって言ってる奴の態度じゃねぇな」
「うっ……。ご、ごめん」
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