題名:思えば自己紹介をする時、いつも憂鬱だった。
幼少の頃は名前がなかった。名前を呼ぶ人がいなかったから、必要とさえもされなかったが。
青年期には名前を捨てた。戸籍には仮にパードレなんてクソみたいな名前を入れてもらって、名前がない可哀想な子___もしくは、名前も貰えなかったほど神に見捨てられた子として見染められた。
日本に来てからはパードレも意味さえ言わなきゃ何も言われない。ただ喉のそこまで"最悪にお似合いだろ"と嘲笑するセリフがいつもいつも引っ掛かってきて、どうしようもなく苦しかった。
「オレのことは神父って呼べ」
「しんぷさま!よろしくね、しんぷさま!」
「神父でいいよ、よろしくエイカチャン」
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