モンモモの大冒険モンモモは激怒した。必ず、かの邪智暴虐のノミカイとやらを除かなければならぬと決意した。モンモモはノミカイがわからぬ。
だが、大好きである千のことを苦しめているものであるとは理解している。
何故ならほぼ毎晩、「モモノミカイにいくな」と寝言を言っては悪夢を見たかのような顔をしてうなされている千のことを隣で寝ているモンモモは見ていたのである。
百本人がモンモモのそばにいたならば、抗議の意味も込めて指の一本や二本くらい噛んでいただろうが、当の本人はノミカイとやらに夢中で少し前まで毎日千の家に来て千といちゃいちゃしていたのが嘘かのようにまったくこの家に寄り付かなくなった。
「モモモ!モモ!(今夜こそノミカイを倒す!)」
シュッシュ
短い手でボクシングのように拳を打つ。
ここのところモンモモは毎日ノミカイを倒すための特訓をしていた。
なんせノミカイがどれだけ強い敵かモンモモには分からなかったのだ。
キックボクシングを始めてみたり(足が短すぎてサンドバッグに届かなかったが)
頭のカボチャを育ててみたり(床が水浸しになって千に怒られたが)
そうして時は満ちた。。
「モーモモ!モモモ!モー!(ノミカイ絶対倒す!頑張るぞ!おぉー!)」
[家を脱出するぞっ!編]
モンモモにとって一番の課題。そうそれはこの素晴らしい邸宅(ユキの家)から抜け出すことであった。
モンモモの動きは遅い。なんせ、足が短いのだ。ノロノロ動いているうちに千に
「こぉ〜ら、どこに行こうとしてるんだ?大人しくしてなさい。」と嗜めらてしまい、定位置のモンモモ用の部屋に戻されてしまう。
それならば、千が寝ている隙に抜け出してしまおうかとも思ったがモンモモも千の家の子。飼い主と同様で、10時間寝ないとスッキリしないからだになってしまっているのだ。