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    im1208nm

    @im1208nm

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    im1208nm

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    ハンリです。ハさんは女性ですが思いっきりリ受けです。一応全年齢。
    そして、露骨な表記はないですが、おそらくかつてスミスと出来てたリです。
    苦手な方は全力回避を…。

    覚悟があるのなら(ハンリ) 月明かりが眩しい夜だった。
     私とリヴァイは二人して、酒場から兵舎に帰る道を歩いていた。
     年末の慰労会である。104期をはじめとする部下達は、まだ店で騒いでいるだろう。兵士たちは明日から皆、年末年始の休暇に入る。

    「リヴァイ、大丈夫かい?」

     隣を歩くリヴァイの顔を覗き込むようにして、私はそう声をかけた。

    「あ?何が」
    「インクで擦ったんじゃないかってレベルの隈だよ、目の下」

     そう言うと、リヴァイは黙ってそっぽを向いた。

     その日、リヴァイはいつにも増して悄然としていた。
     と言っても、リヴァイなりに取り繕ってはいたし、リヴァイは平素からどことなく悄然としているので、誰も気付きはしなかっただろう。
     この男のこういった微細な変化に気がつくのは、エルヴィン亡き今、もはや私だけだ。

     夜の町並みに人気はなかった。
     月光に照らされた石畳の道を、リヴァイと二人とぼとぼと歩く。
     少し行くと、十字路の中心に噴水があって、その道の脇にいくつかのベンチが並んでいる場所に出た。

    「ちょっと休んでいかないか。少し飲み過ぎた」

     リヴァイは私を横目で見て舌打ちをすると、ベンチの一つに近寄ってどかりと腰を降ろした。
    私もその隣に座る。
     やたらと装飾的な意匠の噴水の上に、真円の月がぽかりと浮かんでいた。

    「綺麗な月だねえ」

     私がそう言うと、リヴァイは空を見上げて目を細め、「ああ」と答えた。

     月を眺めるリヴァイの横顔を見る。
     そもそも白いリヴァイの肌が、月明かりの下では更に青白く見える。
     漆黒の艶やかな睫の先が、月光を受けて青白く輝いていた。
     視線にはいつものような覇気が無く、やけに弱々しく、儚ささえ感じられる。
     小さくて形の良い唇は薄く開いている。その濡れた唇の間から、白い歯が少しだけ覗いている様が、やたらと艶かしく感じられた。

     私は息を飲んで、慌ててリヴァイから目を逸らした。
     三十代も半ばを過ぎたおじさんに対して、儚いだの艶かしいだの、我ながらどうかしている。本当に飲み過ぎただろうか。

    「疲れてる」

     私が煩悶している横で、リヴァイが気の抜けたような声でぽつりとそう言った。

    「あ?ああ...、忙しかったもんね、最近」
    「ああ」

     リヴァイが弱音のような言葉を吐くのは、ひどく珍しい。

    「どうも近頃、無理が利かねえ」

     リヴァイは静かにそう言って、軽く俯いた。その拍子に、リヴァイの耳の辺りの髪が一房、さらりと目の横に落ちた。
     目が髪で隠されたことで、リヴァイが下唇を噛む様子が、やけに強調されて見えた。
     見てはいけないリヴァイの姿を見ているような気がして、背徳感に近い奇妙な感覚に襲われる。
     歪んだ喜びを含んだその感覚を払拭しようと、私は小さく咳払いをして、極力明るい声で言う。

    「流石の君でも、寄る年波には勝てないか」
    「それもある」
    「他に何か理由があるのかい?」
    「......あいつが死んでから、特に無理が利かなくなった気がする」

    ──エルヴィン・スミス。

     私は空を見上げた。
     リヴァイにとってエルヴィンは、絶対的な信頼の対象であり、無二の盟友でもあった。支柱を失ったようなものなのだろう。
     私にとっても、それは同じなのだが。
     私が細く溜め息をつくと、リヴァイの力無い視線が、ゆっくりと私を捉えた。

    「目は」
    「ん?」
    「左目は、もう痛まねえのか」

     少し上目遣いに、リヴァイが私を見ている。その目の縁の粘膜の赤さが、やけに目を引いた。
    リヴァイの両手がゆっくりと、私の顔に向かって伸びてくる。
     丁寧に眼鏡が外されて、そしてリヴァイの指先が、眼帯の上からやんわりと左目を触った。
     ほとんど本能的に、私はそのリヴァイの手を握った。

     視線が絡む。
     弱々しく頼りないリヴァイの目は、まるで傷つき疲れた少年のそれのように見えた。

     庇護欲と加虐心が、同時に刺激される。
     ぞくぞくと背筋が粟立った。
     この男をこんな風に扇情的だと感じたことは、これまで一度たりともなかったのに。
     そして、ふと奇妙な直感に囚われる。
     リヴァイはきっと、今まではこの顔を、エルヴィンに見せていたのだろうと。

     私は手を伸ばして、リヴァイの頬に手の甲で触れた。
     リヴァイが私から視線を外し、俯く。

    「帰る気がしねえな」

     そして、囁くようにそう言った。
     だから私は、リヴァイの頬に添えた手を滑らせて、その艶やかな黒髪を、ゆっくりと梳くように撫でた。
     そして少しだけリヴァイに顔を近づけて、極力優しい声で訊く。

    「どうしたい?」

     再び視線を上げて私を見たリヴァイは、ひどく幼く、そしてどこか陰のある顔をしていた。

    「私は構わないよ。君に......」

     私はリヴァイの耳に唇を寄せると、吐息混じりの小さな声で言った。

    「覚悟があるのなら」
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