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    im1208nm

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    im1208nm

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    エレミカ前提のリヴァ+ミカ。
    昔支部に上げてて下げたやつです。供養。

    草原にて 干し草の香りの風が、頬を撫でて吹き抜けて行く。
    ざわざわと木々が揺れる音が心地よい。
    ヒストリアの牧場は、他の場所とは少し空気が違うようで、嫌いじゃない。
    だから調整日には、時々訪れるようにしてる。
    私は木の柵に腰かけるように凭れて、天を仰いで大きく息を吸った。

    「ミカサか」

    背後から聞き慣れた憎らしい声が聞こえて、振り向く。

    「リヴァイ兵士長」

    私は柵に凭れるのを辞めて、左胸に拳を当てた。
    一応上官なのだ。礼儀は通すべきだろう。

    「女王陛下は外出中らしいな」

    「はい。すぐに戻られると」

    「そうか」

    リヴァイが私の隣に立った。
    馴れ馴れしい奴だ。

    「ヒストリア...、女王陛下にご用ですか」

    「まあ。大した用じゃねえが、たまに来てる」

    「そう、ですか」

    「調整日か」

    「はい」

    「そうか」


    沈黙。

    この男のことは嫌いだ。
    私の目の前で、エレンに暴力を振るったからだ。
    ひいてはエレンを救うための暴力だったことは理解しているし、彼が悪い人間ではないことも、分かっているつもりだ。

    過去に、私が命令に背いたせいで、彼に怪我を負わせてしまったことがある。
    しかし、彼は一言も私を責めなかったし、後に怪我の原因として私の命令違反を挙げることもなかったので、処分を受けることもなかった。
    守られたのだろう。

    それでも。
    頭では理解していても、感情が追い付かないのだ。
    この男に蹴り飛ばされた時のエレンの痛みや心情を思うと、気が狂いそうになる。同じ痛みを味わわせてやりたい。いつか必ず報いを。
    そんな思いが、理性を凌駕してしまう。

    「あ!兵長だ!ミカサもいる!」

    遠くから少年の声が響いてきた。
    昔のエレンに少し似ていて、私が気にかけている少年だった。
    少年は転がるように草原を走って来た。

    「へいちょー!勝負だ!」

    少年はリヴァイの前に立ちはだかると、ファイティングポーズを取った。

    「……俺はガキだろうと容赦しねぇぞ」

    リヴァイは手首を回しながら少年の前にゆらりと立った。
    真剣な形相である。
    この男なら本当に本気でやりかねない。
    すぐに動けるよう、体勢を整える。

    「のぞむところだ!!」

    少年はえい、とかやぁ、とかいう掛け声と共に、まだ短い腕で次々とパンチを繰り出した。
    リヴァイはそれをヒラヒラとかわす。
    大人げない奴だ。

    「くそ、くそ!」

    当たらないのがもどかしいのだろう。少年の掛け声に悔しさが滲み始める。
    そんなとき、少年のパンチの一発がリヴァイの脇腹に当たった。
    リヴァイが途端にバランスを崩し、しゃがみこむ。

    「……てめえ、何しやがった」

    脇腹を押さえ、絞り出すような苦し気な声で、リヴァイはそう言った。
    まさか。
    私は慌てて少年の手を見る。
    ナイフでも隠し持っていたのかと思ったのだ。
    しかし、何も持っている様子はない。
    少年は嬉しげに拳を突き上げると、「よっしゃあ」と快哉の声を上げた。

    「へへー! これで5連勝だ!人類最強も大したことねえな!」

    「くそが……。さっさと行け」

    少年は、「兵長、ミカサ、またな!」と叫びながら、また転がるように走って去っていった。
    その後ろ姿を見送ってから、リヴァイに視線を移す。
    リヴァイはしゃがんだ体勢のまま、少年の背をじっと見送っていた。

    「……迫真の演技ですね」

    「うるせえ」

    リヴァイは立ち上がると、膝を手で払った。
    鳥肌が立つ程意外だが、この男はどうやら子ども好きらしい。

    「あのガキ、エレンに似てるだろ」

    リヴァイの言葉に、ドキリとする。

    「……はい」

    「エレンも、あんなだったか」

    「私が出会った頃のエレンは、既にもう少し大きかったですが……。そうですね。本当に、あんな感じでした」

    私がそう言うと、リヴァイは目を細めた。
    見たことのない程、穏やかな顔だった。

    この男は。

    「エレンが、お好きなんですね」

    「はっ。お前程じゃねえが」

    やはり、悪い人間ではない。

    「……もう、ヒストリアが帰る頃です」

    「行くか」

    「はい」

    この牧場を流れる空気は、やはり他の場所とは少し違うようだ。
    そんなことを思いながら、私はリヴァイの隣を歩き出した。
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