僕の宝物「無くしてからでは遅いのです。思い出せなくても事実を受け入れて下さい」
「…すまない。迷惑をかけているね。私からも彼にはちゃんと伝えておくよ」
無くしてからでは遅い?既に記憶を無くしているのに?
「アルバートから聞いたよ。悪いんだが彼は忙しくてね、もう関わらないでくれるかな」
正しい判断をした筈だ。
「アレクセイ⁉︎何という事を!彼は貴方が望んで手に入れた宝だったと言うのに‼︎」
たから。宝?普通のナチュラルで容姿に優れてもいない歳の離れた同性の彼が?
「ハインライン大尉、馬鹿馬鹿しい話はもうお終いだ。さあ仕事に戻ろう」
じっと私を見たアルバートは瞼を下ろし一つ大きなため息をつくと、話を切り上げる気になったようだ。
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