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    しんどうゆか

    8月1日にチェリまほに再燃してしまった、しがない文字書き。本垢TLに流れてきた、バズった原作第1話(でんせつのはじまり)から追っていました(途中ブランクあり)。豊田先生のファンをしつつ、自分でもこそこそと文字を書いています。自給自足が楽しい。気に入る作品があれば嬉しいです。

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    しんどうゆか

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    9月5日に営業終了した大江戸温泉物語を惜しんで、くろあだに大江戸温泉&お台場デートしてもらった話です。まだデートにも行かない冒頭部ですが、頑張って書くためにも公開します。基本、安達視点の話です。

    #チェリまほ
    #くろあだ
    blackFats

    ゆりかもめの行き交う街でまえがき

    私事ですが、別ジャンルのコラボイベントで存在を知ってから、東京に滞在する際、大江戸温泉物語を鬼のように利用していました。が、その大江戸温泉が土地契約の更新の関係で、今年の9月5日をもって営業終了してしまいました。本当、大変お世話になりました……。

    最後に行きたかったけど、このご時世、県を跨がないと行けない場所には……ね、ということでそこは泣く泣く諦めたのですが。だったら、私の妄想を滾らせて、くろあだに大江戸温泉でデートしてもらえばいいんじゃね? と思ったので書いてみました(安直)。

    ほら、ドラまほ(チェリまほドラマ版)のくろあだ、EDでお台場周辺のデッキ歩いてるでしょ……叫びそうになったよね……付近一帯、前述の別ジャンルの聖地だから……。

    原作8巻〜予測される設定の一部は敢えてログアウトしてます(読めるまで待ち遠しい)。安達は長崎から戻ってきていて、くろあだは東京・黒沢の家で同棲生活しています。
    と、いう具合の話ですが、大丈夫な方は続きをどうぞ! この話は基本、安達視点で進みます。


    ―― ―― ―― ―― ――


    朝起きたら、顔を洗って、スーツに着替えて。適当な朝食を胃に詰め込みながら、身支度を整える。
    満員電車に揺られながら、憂鬱な気持ちで会社に行って、その気持ちを引きずったまま仕事をして。残業をすることもままあるけれど、その日のノルマをなんとか終わらせ、疲れた身体を引きずりながら、帰りの電車に飛び乗り、コンビニで晩飯を買って帰宅する。
    買った飯を食べて風呂に入り、録り溜めたドラマを見たり、スマホに入れた音楽を聴いたり、積読になっている本を読みながら眠りにつく。

    これが、俺にとってのありふれた、なんて事のない日常だった。しかし……半年前、いや、もっと正確に言うなら一年半前から、その日常に大きな変化が起きた。
    キッカケは、嘘みたいな本当の話が、自分の身に降りかかったことに始まる。

    『30歳まで童貞でいると、魔法使いになってしまう』

    そんな都市伝説めいた話を、俺は身をもって体験してしまったのだ。
    だけど、それにより手にした魔法……「触れた人の考えていることが読める力」のお陰で、俺は他の何にも代え難い「大切な人」を得ることが出来た。今の俺は魔法使いではなくなったけれど、魔法を通して互いの心に触れ合えた、その「大切な人」と共に暮らしている。





    「お疲れ様でした」
    定時が過ぎ、デスクの上を片付けた俺は、通勤鞄を持って帰宅の途についた。
    一人暮らしをしていた頃、俺は電車で30分以上かかる、郊外にあるアパートで暮らしていた。現在は、会社にほど近いマンションに住んでいる。
    これまで使ってきた鍵とは、少々勝手の違うものにもようやく慣れて、玄関のロックを解除する。
    ドアを開けて直ぐ、俺は「ただいまー」と声をかける。
    ところが、家の中を見ると明かりは付いておらず、人の気配もない。当然、中からは誰の声も返ってこない。
    玄関のドアをバタンと閉め、暗がりの中で俺は、はたと気がついた。

    「そうだ。今日はあいつ、帰り遅いって言ってたもんな」

    「ただいま」と言うと「おかえり」と返してくれる存在が嬉しくて、つい当たり前のように声に出していた。
    実家にいた時は何も感じなかったけど、長い間一人暮らしをしてきたのと、俺は友達も少ないし、幼少期の経験から、寂しさには慣れていた。ある意味、慣れすぎて感覚が麻痺しているところがあったように思う。だから、ちょっとの寂しさぐらい平気、なはずだったのに。

    (やっぱ、一人は寂しいもんなんだな)

    すっかり弱くなってしまった自分に対して、俺は自嘲の笑みを浮かべる。けれどその分、いや、それ以上に俺は、今ある幸せを噛み締めてもいる。
    かつての俺は、愛するその人のために頑張りたい、とか、その人がいるから頑張れるとか、そんな話を耳にする度「そんなドラマや漫画みたいな話、本当かよ」と、斜めに構えていた。
    だけど今、それは本当だったと、ひしひしと感じている。とにかく、一人で生活していた時には、僅かにも考えもしなかった活力が、ふつふつと湧いてくるんだ。
    確かに俺は、弱くなったと思う。けど、そういう意味でならきっと、俺も少しは強くなれたんじゃないかな。

    「あ、LINE来てた。……帰宅は20時半過ぎか」

    玄関の鍵を閉め、廊下の明かりのスイッチを入れてから、その場でメッセージアプリの通知を確認する。メッセージをくれた相手――黒沢は、俺とは正反対のタイプの人間で、常に前向きで仕事は出来るし、背が高くてガタイもいい上にイケメンだし、性格もいいし、イケボだし……という、一見すると絵に描いたような完璧人間だ。けど実は、好きな漫画や食べ物の趣味が合ったり、俺と同じように悩んだり嫉妬したり、格好悪いところもあったりして、可愛いなと思える、俺の大切な伴侶だ。

    俺が長崎から戻って、黒沢と一緒に暮らし始めてから半年が経つけれど、未だに新たな発見もあるし、毎日が楽しい。
    去年の春、魔法使いになってしまったばかりの俺が、初めて黒沢の家に泊まった日には、俺たちの関係がこんなことになるなんて、微塵も想像出来なかった。
    むしろ俺は、心の声で伝わってくる黒沢の好意や妄想に、無茶苦茶ビビりまくっていたからな。
    本社に戻ってからも、仕事は相変わらず忙しくて、今日みたいにすれ違う日も当然ある。でも、黒沢と寝食を共にして、時には愛を確かめ合って。互いの存在が、精神的にもプラスになっているのは間違いないと思う。

    靴を脱いでリビングに入ると、明かりを付けて、エアコンのスイッチを入れる。8月中旬に差し掛かっても、暑さは衰えを知らない、東京という街。昼間の外気温の影響から、上がってしまっていた室温を下げるために、勢いよく吹き出し口から冷風が吐き出された。

    「ううむ……晩飯は何にするか」

    エアコンの風に当たり、涼みながら頭を悩ませる。ネクタイを緩めて外すと、洗面台の隣にある洗濯機に放り込む。手を洗って、うがいをして、キッチンに入る。冷蔵庫のドアや冷凍庫の引き出しを開けて、中身を検分してみる。

    (あ、麺つゆ……。ん? 冷凍のかき揚げもあるじゃん。今日は暑いし、これは「アレ」に決まりだな)

    晩飯のメニューを決めた俺は、意気揚々と冷蔵庫のドアと冷凍庫の引き出しを閉めた。

    (そういや、冷凍のたこ焼きや餃子も残ってたな。黒沢が帰ってきたら、食べるか聞いてみよう。場合によっては土日で……)

    先週の休みの日に、黒沢とスーパーへ買い物に行って、冷凍食品コーナーで珍しい品物を、それなりに買い込んで来たんだ。昨今の冷凍食品は良く出来ていて、美味いものが多いし、休みの日に黒沢と冷凍食品や珍しいインスタント系の食品でパーティーをしてみることもある。
    前回、パーティーをした時、俺の食べるところをずっと黒沢に眺められていた。慣れてはいるけど、何となく居所が悪くて、お前は食わないのと聞いたら、こんな言葉を返されたんだ。

    「安達がなんでも美味しそうに食べるのが、嬉しくて……つい。ほんとありがたいと思うよ」

    黒沢はあまり話したがらないけど、俺が気になって、黒沢の歴代彼女について聞いてみたことがある。
    すると、滅多なことで人の悪口を言わない黒沢が、ためらいながらも俺に、こんな本音を漏らした。

    「一度いいレストランに連れてくと、次に食事に行く時、下手にランクを下げられなくて……」

    つまりはこうだ。黒沢がミシュランに載るような、星がいくつも付くレストランに彼女を連れて行ったら最後、その彼女とファーストフードの店に行くことは、絶対に叶わなくなる。もちろん、黒沢の懐やプライドの問題ではなく、彼女側の理想が高くなってしまう問題からだ。無論、冷凍食品やインスタント食品で自宅パーティーをするなぞ、もっての外だ。

    俺はずっと、外見や容姿が良い、というのは得しかしないのだとばかり思っていた。だけど、黒沢から告白された時に聞いたあいつの心の声や、社員旅行やバレンタインの時に、女の子たちに群がられて大変そうな黒沢を見ているから、モテるのも、ある意味面倒なんだなと謎に同情した。
    それを分かっているから、黒沢に感謝されたら素直に受け取っておくことにしている。
    ただ、人が食べてる時に、じっと見つめないで欲しいとは常々思っているけれど。

    (うし。黒沢が帰ってくる30分前くらいにかき揚げをオーブンであっためて、和也から送りつけられた「あれ」を茹でるか)

    調理の打算をつけた俺は、一旦キッチンから離れた。時計を見ると19時半を指している。黒沢が帰って来るまでには、あと1時間ほどある。

    (ちょっと調べ物をしよう)

    リビングにあるキャビネットにしまっていたiPad Proを手に持ち、ソファーに座った。
    それから、通勤用の鞄から定型の封筒に入れた、とある施設の優待券を取り出し、昼間の出来事を思い返しつつ、俺はiPadで検索サイトを開いた。
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    しんどうゆか

    DONEどスランプ中のしんどうです。こんばんは。
    昨年12月に判明した首のヘルニアの症状も出てて絶賛ヤバみです。季節の変わり目め……ぐぬぬ。でも生きてます。浮上できてなくてすみません。
    映画や単行本の感想を書きたいのに書けない……そしてドルパロ書きたいと迷走している時に、別のアプローチでアウトプットしようとして出来た作品です。別名・ポエマー黒沢三部作。
    あなた様のお好みに合いましたら幸いです。
    アンコールの音(ね)が聞こえる。⚠️ATTENTION⚠️
    私が入浴中に思い付いた「アンコールの音(ね)が聞こえる。」をキーワードにして書いた小説3作品です。ドルパロ・原作本編・学パロの順になってます。話は繋がっていません。フィーリングなので許してください。






    @アイドルパロ

     俺達を呼ぶ、アンコールの音が聞こえる。
     ここは東京ドーム。5万人という超満員のオーディエンスがひしめき合う、国内屈指のコンサート会場。
     本編のセットリストを歌いきり、一度楽屋に戻った俺達は、モニターでその様子を目の当たりにし、込み上げて来るものがあった。

     有名漫画家のシナリオが原案の「アイドル×BL」ドラマプロジェクトが発足してから約5年(ドラマ放映と同時に、原案者本人によるコミカライズも行われた)。
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    しんどうゆか

    DONEチェリまほ95話を読んで、夏歌ベストみたいなのを聴いてたら、子供の頃に横須賀の海で、くろあだ出会ってないかなって妄想が走り出したので書いてみました。しんどう(作者)の妄想多分なことを留意の上お読みください。黒沢視点のお話です。イメソンは「secret base〜君がくれたもの〜」とか「LIFE」といったザ・夏歌です。海はいいですね(豊田先生の受け売りですみません)。
    運命という名の魔法 子供の頃、俺は家族と一緒に、地元・横須賀の海へよく出かけて行った。
     ある年の夏に、その海で出会った、黒髪で色白の、憂いを含んだ表情がやけに印象的な男の子のことを、今でもよく覚えている。

     横須賀の港は軍港として有名だから、観光客もたくさん来ていた。その中で、その子は周りの様子を気にすることもなく、食い入るように、ただ海の方を見つめていた。
     邪魔をしてはいけないと思ったけれど、俺はどうしても、彼と話をしてみたいと思った。それで俺は、意を決して彼に話しかけた。
    「軍艦、好きなの?」
    「えっ……? あ……うん。好きだよ。カッコいいからな。……お前も好きなの?」
     突然話しかけられたことに、戸惑いを隠せないようだったけれど、彼は俺の質問に答えてくれた。おまけに彼は、俺に質問をしてくれた。だから俺は「うん、好きだよ」と返事をした。彼は何処となく照れ臭そうにして「そうなんだ」と返した。
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