〇〇しないと出られない部屋②誰かが持ってきた雑誌だったと思う。
この中でエッチすんならどの子? という下卑た話題で部室の一部が盛り上がっていた。
清春はその類いの話題は大して好きではなかったが、眉を顰めるほどでもない。
同級生に「お前は?」と写真を見せられ「この子」と適当に指さした。
その時に小太郎が部室に入って来た。
同級生はニヤつきながら当然のように小太郎にも同じ質問をした。それが彼なりのコミュニケーションなのは同じ部活の人間なら皆分かっている。これも後輩である小太郎に疎外感を与えないようにという彼なりの思いやりだろうことも。
「そんなくだらないこと、言いたくありません」
なのに、小太郎はそんなふうにバッサリと切って捨ててしまった。小太郎が先輩に邪険な態度を取ると真っ先に叱りに行くのが清春の脊髄反射的な役目になっていたが、その時だけは、それもそうだよな、と憤慨する同級生には悪いが、全く怒る気にならなかった。
こんなとこもストイックな奴なんだなと感心までしてしまっていた。
他の奴が言ったように「お高く止まってる」とは思わなかった。性欲とか無さそうだもんな、なんてちょっと清らかな印象まで持ってしまった。
だから、余計に違和感を感じる。
こんな事をしているなんて。
布団の中でゴソゴソと避妊具を装着しながら、口許に乾いた笑いが浮かんでしまった。
めちゃくちゃ勃起していた。男に。しかも、小太郎相手に。
みっともなくも、焦れすぎたせいか我慢汁まで垂れていた。
あさましい情欲で頭の芯がぐらついている。
四つん這いになった小太郎に背中から覆いかぶさりながら、囁く。
「挿れんぞ」
「……」
「……おいコラなんか言えよ」
「そういうのいちいち言わないで下さいよ……!」
「あっそ」
気ィ遣ってやってんのに、と少し苛立ちながらも、スキン越しの亀頭を尻の割れ目に擦り付ける。
手探りでやるので、ぬるぬると穴の上を何度も焦らすような動きになってしまう。
ようやく指先でさぐり当てたそこに、つぷ、と先端をゆっくりと沈め込む。
「……っ、く」
「きつ……」
入るには入ったが、異物の侵入を拒むように腸壁がぎゅうぎゅうと締め上げてくる。
シーツに額を押しつけている小太郎の手が、シーツを強く握っていた。
ちょっと慣らすか、と半分くらいまで埋めて、止めた。
あつ、と呟いて、額の汗を肩で拭う。
「なあ、服脱いだら駄目?」
「駄目……」
お前のは脱がせないから、と言っても小太郎は頑なに頭を振って嫌がる。
「じゃあせめて布団取っていい?」
「だ、駄目……」
「暑いんだって、頼むよ」
「駄目、嫌……」
弱々しく絞り出すように言う小太郎に、それ以上詰め寄るのも可哀想になる。
「……分かったよ」
ため息をついて、カーディガンだけ脱ぎ捨て、ネクタイを外し、シャツのボタンを少し開ける。
見られるのは嫌だし、全部脱ぐのも一線を越えたようで嫌だと言う。──いまさらじゃね? と思ったが、せめてそれくらいは言う事を聞いてやろうと従った。
無意識なのか、小太郎の腰がじくじくと上下に揺れている。
時折、きゅ、と中が不規則に締まって、おいおい、と焦る。正直何回かイきかけた。
「こたー、それやめて……出そう」
「……何ですか」
「お前腰揺れてる」
「……」
ぴたりと動きが止まった。やっぱ無意識だったんだ、と清春は苦笑する。
恥ずかしがらせたかった訳ではないが、俯いた小太郎の耳は可哀想なくらい真っ赤になってしまった。
清春は労わるように声をかける。
「こっちも結構我慢してんだけど。もう動いてもいけそ?」
「……」
俯いたまま、小太郎はこくりと頷いた。
頭をわしゃわしゃと撫でて、清春は腰を掴み直す。
ゆっくりとカリ首の際まで引き抜いて、またじわじわと突き上げる。
「〜〜〜っ!」
「痛いか?」
問いかけに小太郎は無言で頭を振った。
「……全部突っ込んだらお前キレる?」
「ぜ……んぶっ、て、なん、ですか……」
「まだ半分しか挿れてない」
「は……っ、うそ……そ、んなに……」
「なぁ、駄目?」
焦れながら、それでも極力気を遣いながら浅く抜き挿しする。
「ん、うぅ……っ」
カリ首が少しでも深く埋まると、小太郎は苦しそうな息を漏らす。
これじゃまだ無理そうだなと、シャツの裾をまくって、服の中に手を入れる。
ぎょっとしたように小太郎が振り返った。
「ちょっと! どこ触って……」
「だってお前キツそうだから」
指に触れた尖りを軽く摘むと、うぐ、と色気の無い声を出す。
「変なとこさわんないでくださいよ!」
吠える小太郎に「うーん」と零して、一旦手を離す。直接触られると摩擦でよくないって前の恋人が言っていた気がする。
ローションとか使ったらまた怒りそうだしな、と思いながら、今度はカーディガンの中に手を入れた。ワイシャツ越しにカリ、と乳頭に触れる。
「……あ」
小太郎が小さく声を洩らす。
今度は喜色の滲む喘ぎだった。
指先でまるく撫でるように擦ると、腰が跳ねた。
「服の上からの方が気持ちいい?」
引っ掻くようにかすかに触れると肩がくねる。
「……そ、それ、やめ」
「なんで? 気持ちいいんだろ?」
「やだ、やだっ」
「なんだよ、逃げんなって」
「ちが、こんなの、しらないっ……! こんな、女の子みたいな……! おれそんなとこで気持ちよくならない……!」
「分かってるって。さっきのローションに変なクスリ入ってるからだろ? 暴れんなよ」
「……っ」
シャツの上から弾いて、撫でさすると、ぷくりとその形を主張し始める。
両手でいっぺんに摘むと、ひくひくと腰がふるえた。
「気持ちいい?」
「っ、ん、っく……」
「なあ、ここ出たら全部忘れてやるから、いいとこ教えろって」