運命後によりを戻すディアミリ帰還信号が打ちあがった。
いくつもの眩い光を、美しいと思うよりも安堵を覚えるようになったのはいつのころだっただろう。家に帰り着いたあと、部屋の電気を点けたときに感じる、ほっと息を吐きたくなるような心地。体中に張り巡った緊張が一気にほどけて、大事なものがいくつもいくつも頭の中を駆け巡っていく。死ぬ間際に走馬灯というのをみるというけれど、大切なものを思い出すのはいつも戦闘が終わってからだ。会いたいという気持ちが際限なく膨らんでいく。
赤いパイロットスーツに身を包んでいたころは、戦闘が終わることに対して一種の不快な感情を心に抱いていた。
もっとやれる。
追撃をすれば、相手を追い詰めることができる。
と、そんなことをよく考えていた。それはまだ現実を現実として見ていなかったからに違いなかったけれど、それなりに成長した今でもまだモビルスーツに乗っている。それは、自分にはまだこれに乗って出来ることがあると思ったからだ。
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