親友の恋人/ディアミリ定例会議のために移動をしている最中に、見覚えのある後ろ姿を見つけた。首筋に沿って明るい色の髪をピンと外に跳ねさせて、ここではめずらしい他国の軍服を着ている彼女は背筋を伸ばしてまっすぐに日の差し込む廊下を歩いていた。
何週間も前から決められていた予定表にはたしかに彼女の名前が記されていたが、それならば護衛兼世話役がそばにいないのはどういうことなのだろう。オーブから出向している尉官ではあるが、軍人としての経験なんてほとんどないし、なにより彼女はナチュラルだった。生まれたときから植え付けられた意識というものは簡単には変えられないことは先の二度の大戦で分かりすぎるぐらいに分かっていた。だから、思わず声を掛けてしまったのだ。
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