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    はまおぎ

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    はまおぎ

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    お題はお借りしました。

    ▼【浜荻の五歌】
    「ちょっ、髪の毛引っ張んなよー!」
    https://shindanmaker.com/681121

    たわむれ 五条の視界で、白い蝶々が風に踊っている。
     庵が、背中あたりまで伸びた少し硬めの黒髪をハーフアップにして髪留めでまとめるようになって、どれくらいたつだろう。ずいぶん昔はおさげ髪だった。
     彼女の後ろ頭には細い髪紐がきっちりと結びついていることもあれば、今日のように幅広の布がひらひらと存在を主張していることもある。まさに蝶々と五条はリボンへ手を伸ばした。途端に、ちょっと、と険のある声が上がる。
    「髪の毛引っ張んないでよ」
     そう言って庵はリボンのあたりを手で押さえながら、くるりと体ごと五条に向き合った。彼女が彼と話すにあたってこちらへ振り返ったのか、はたまた全身でこの手を振り払ったのかは、五条には判断がつかない。
    「そんなことしてないじゃん」
    「今してなくても、これからやりそうなのよアンタ」庵は腕を組んで言った。
    「ひっでえ」両手を肩あたりに上げる。「言いがかりって言うんだよ、そういうの」
    「ひどいと思うなら自分の前科を恨むことね」
    「歌姫ってさあ、僕には何言ってもいいと思ってるところあるよねえ」鼻で笑ってみせた。
     すがめられた庵の目が、斜め下から五条をめつける。お返しに顔を寄せて覗き込んでやった。
    「みんな大好き歌姫先生が? 僕にはイイコチャンのスイッチ切って? 甘えてるってことでいいのかな?」
     庵の飴色の瞳に自分がしっかり映り込んでいるのが分かった。近い、と彼女が一歩後ろにさがる。
     年長者にも後進にも、もちろん同輩にも、人当たりの良さで売って、さまざまな人の懐に入り込んでいる庵である。お世辞やおべっかを使いこなす八方美人が周囲を手のひらで転がしているのではない。残念なことに庵はそんな器用な性分ではないし、彼女の周りの人間も自分を含めてそんな単純な頭のつくりはしていない。ただひたすらに彼女の為人が「いいひと」の具現である、その副産物が、みんな大好き歌姫先生なのだ。自覚が無いらしいのが彼女の瑕というやつ。
    「どっちかっつーとアンタといることでスイッチ入るんだわ」
     聡明で面倒見のよい準一級呪術師の京都校教師・庵歌姫先生という概念は、五条を前にするとかたなしであった。こちらについては、ちゃんと自覚があるらしい。
     柔らかな微笑みに弧を描く唇は大きく開いて、五条を怒鳴りつける。切れ長で優しげな光をたたえる目はぴんとつり上がって、瞳が五条への怒りに燃える。落ち着きのある身振りはどこへやら、手近な物を投げたり拳を振り上げたり、相当やんちゃ﹅﹅﹅﹅だ。頭から爪先まで、五条への感情で満ちた庵の姿。
    「なんにせよ、僕は歌姫の特別ってわけだ」
    「そんな素敵なもんじゃねーわよ」庵は眉をひそめるどころか顔全体をゆがめている。
     その顔は女性としてどうなの歌姫と、表情筋のよく働いている頬に手をそえる。逃げられる前に頬をつまんで、そのままムニムニと揺らしてやった。

    (2110170039)
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