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    はまおぎ

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    はまおぎ

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    ご+う、七視点

    犬も食わない ガララッと勢いよく引き戸が開く音がして、七海が目指す自販機スペースの中から紙コップが飛び出してきた。紙コップは廊下の壁に当たって軽い音を立ててはね返り、床に転がる。幸い中身はなかったようで、七海の驚き以上の被害はなかった。
    「あはは、暴投〜」
     紙コップ以上に軽々しい笑いを転がしながら廊下に出てきたのは五条だった。目の前に七海を捉えて、片手をひらりと振ってくる。
    「あ、七海だ」
     まるで今気づいて驚いたかのような物言いだが、五条の口元には薄ら笑いが浮かんでいる。気配に聡い男だ、たぶん彼は七海の接近に気付いていた。戸を開けたのだって、タイミングを見計らっていたかもしれない。
    「飲み物買いに来たの? ここはオススメしないよ、鬼がいるから」
    「誰が鬼だコラ」
     五条の言葉に被せるように語気荒くツッコミを入れる声は五条の後ろ、自販機スペースの戸口から聞こえた。見なくとも分かる。
    「お久しぶりです、庵さん」
    「久しぶり、七海。みっともないところ見せちゃったわね」
    「コップ、超ノーコンだったもんね」
    「制球力の話じゃねーのよ!」
     庵の手のひらが五条の腕に一閃した。どうせ無下限呪術で阻まれるのにこの人は、という七海の予想を裏切って、ぱあん!と乾いた音が廊下に響く。思わずサングラスの下で目を見開いてしまった。
    「アンタ、もう、ほんとなんなの、ムカつく」
    「うわっ……歌姫の語彙力、低すぎ……?」
     今度は拳が飛び出した。見事な右ストレートだ。しかしこれは五条のみぞおちに届くことがない。五条は印を結んでケラケラ笑っている。無限を前にぴたりと拳の勢いを殺された庵のフラストレーションは、さらに増したように見えた。
     歯を食いしばって両足で踏ん張り、五条を包む隔たりに拳をなんとかしてねじ込もうと全身で格闘している庵は、負けず嫌いにもほどがある。フウ、と七海がため息をついたことにも気づいていない。対して五条は七海を見やって、その白い歯を見せて笑みを深めた。
     ご愁傷様ですと七海が庵に内心で手を合わせたのと、五条が印を解いたがゆえに庵の全体重をかけた拳を受け止める無限が消え去ったのとは、同時だった。
    「えっ」
     庵は見事にバランスを崩して、驚きの声を上げる。傾く上体を五条の方へと導く重力に、抗うことも叶わない。庵はそのまま五条の胸元に収まった。五条は待ってましたとばかりに両腕で彼女を囲う。
    「この程度のフェイント、こらえきれなきゃ駄目でしょ。ねえ七海」
    「巻き込まないでください」
     もっと頑張りましょうねー、と腕の中の庵の頭と逆鱗をなでくり回している五条の手つきは無遠慮な態度の割に優しげだ。つい視線を上げたが目当ての青色は当然布に覆われていて、感情をうかがうことはできなかった。

    (2112200518)
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