そのパーティホールは人で埋め尽くされていた。
ピカピカに磨かれた革靴が、色とりどりの尖ったヒールの先が、バーガンディのカーペットを踏みしめている。そうして行きかう人々は誰も彼も煌びやかな装いで、まるでドレスコードに定められているように上品な笑みというものを浮かべて会話に興じていた。
最初はこんなにいなかった気がするのに。騒めく人々の群れを少し離れた壁際から眺めながら、オーウェンは持たされたグラスの中身をなにげなく揺らした。いつの間にこんなに増えたのだろう。
ここに集められているのは、皆ピノクル子供教育基金を利用した人間だ。ピノクル社が今や世界中で展開している、奨学金制度の利用者。
その真の目的はプレイヤーの発掘ではあるが、それは川底から砂金を探すような話だ。ほとんどの人間はカードのお眼鏡に敵わず、ただ優秀な人間というだけで話は終わる。
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