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    うすや

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    @usu_6458

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    お題「首輪」
    オメガバ。α×αで肉体関係のあるひめ巽。うっすら事後ですので注意

    首輪 街中を歩いていると、首に貞操帯をつけている人をよく見かけるようになった。ひと昔前はΩに対する差別意識が強かったと聞いているが、今ではこうして街中でΩである証を堂々とつけて歩けるようになっている。番らしきaと仲睦まじくしているその姿は実にほほえましいものであると巽は思っていた。
     そのことを要に世間話の一環として話したのは、散々睦み合ったベッドを上であった。
    「俺はΩの貞操帯事情には疎いのですが、聞くところによると今はファッション性を重視したものが人気だそうです」
    「…」
    「流行りなどもあるようで、俺が見かけた方々が付けていたものも一見チョーカーにしか見えませんでした」
     チョーカーにしか見えないそれを付けているのがΩであると分かるのは、巽がαであるからに他ならないのだが、それを指摘する人間は生憎とこの場にいなかった。
    「何の脈絡もなく一体何なのですか」
    「たまには世間話でもと思ったのですが…」
    「この場でする世間話にしてはセンスゼロです。最悪です」
     シャワーから出たばかりでまだ濡れている髪をタオルで拭きながら、要は巽が横たわるベッドへ近づく。汗もろもろ全てを洗い流してすっきりした後だというのに、要は不愉快そうに眉間に皺を寄せている。
    「そ、そうですか…? 俺としては手頃な話題だと思ったのですが…」
    「はぁ…」
     要はベッドの隣にあるイスに腰かけ、目の前にある小さなテーブルにタオルを乱雑に置いた。
    「貞操帯の話がどうしたら手頃な話題になるのですか」
    「最近得た印象深い情報だったので、要さんにも共有しようかと」
    「結構です。それに貞操帯にファッション性が付随し始めたのはそれほど最近のことではありません」
     その衝撃的な情報に巽は目を丸くした。基本的に流行というものに縁遠い巽は知らなかったが、オシャレな貞操帯が世間に出始めたのは数年も前の話である。
    「今時は有名ファッションブランドが手掛ける貞操帯もあるのですよ」
    「それは初耳でしたな。要さんはお詳しいのですか?」
    「いえ、あくまで世間一般的な知識に過ぎません」
     本当はそれだけではないのだが、要はそれを巽に伝える気はさらさらなかったし、巽も要の言うことをそのまま受け止めたのでそれ以上深掘りされることはなかった。
    「俺はどうも世間の流行りに疎くていけませんな。藍良さんに教えてもらって少しは追い付けたと思ってましたが、まだまだのようですね」
    「まあ、αが貞操帯について詳しくないのも仕方がないことでしょう」
    「ですが要さんは知っているということは俺もある程度は知識を付けておかねば…という気持ちになってしまいます」
     知らないことは素直に知らないと口に出し、正面から教えを乞えるのは巽の美点であるが、こと第二性の話題に関して言えばそれは必ずしも褒められるものではない。αがΩの事情を詳しく知ろうとすることはΩからすれば不信感と警戒を生みかねないし、もしやΩの恋人が出来たのではないかと世間が噂するかもしれない。
    「勉強熱心なのはいい事ですが、そんな知識をつけたところで無駄です」
    「無駄、ですか?」
     行為の余韻から起き上がれないでぐちゃぐちゃのシーツの海に沈んだままの巽は、仰向けだった態勢からぐっと力を入れて要の方へと寝返りをうった。
    「確かにΩについての知識をある程度付けることはαとして必要ですが、」
     要は立ち上がってベッドに近づくと、膝を乗せてベッドに乗り上げてきた。手を巽の頭の横へつき、未だ事情の余韻が残る顔を覗き込む。
    「そんな知識、どこで使う気ですか?」
     濡れた髪の先が巽の頬に触れる。
    「それとも、あなたも欲しいですか? ここに」
     首輪みたいでいいじゃないですか、と要が巽の首筋をつうっとなぞる。鎖骨に咲いたキスマークが要の目には酷く扇情的に映った。
    「俺はαですよ」
     巽は指の感覚に身をよじりながらまるで確認するように言った。αの巽にはΩの貞操帯をつける必要はないし、同じαである要との間に番関係を結ぶことは不可能であるため行為中に万が一の事故が起きることもない。だから巽が貞操帯を付ける意味などまるで無いのに、要は巽の首を一周するように撫でた。
    「知っています。俺もお前もαなことくらい」
     でも、と要は巽の目を見た。「お前」などと、行為の最中にしか呼ばれない呼び方をされて、巽は思わず身震いした。
    「お前がΩだったら、この首に真っ赤な首輪をつけただろうな」
     覆いかぶさってくる要を、巽は何も言わずに受け入れた。



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