あんたと君との5年間(仮)④ 一年も経てば、かつて力なく垂れ下がっていた爆豪の右腕は日常の動きを取り戻した。
スプーンを持ち、服を着替え、荷物を持つ。そんな当たり前の動作が、出来るようになった。
力を入れることも可能になり、拳を握る度に力強い感覚が戻ってくる。
それでも個性を使うには、まだ危険が伴うので慎重さが求められる。
医者たちはその慎重な診断を重ねた上で「この調子なら予定より早く回復するだろう」と口を揃えた。
そんな爆豪の驚異的な回復力に、医者たちが「今後も研究させてくれ!」と熱心に迫ったが、彼はそれを「ふざけんな」と一蹴したという。
自身の病室でその話を思い出したオールマイトは、くすりと笑みをこぼす。
けれど、そんな微笑みも手元に視線を落とされると、すぐに消えてしまう。
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