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    ヰ不🍀

    @kamuidaimon2551

    進捗とか呟くには長ったらしい妄想とか投げます。
    絵文字ありがとうございます🙏

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    ヰ不🍀

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    全て捏造。
    アニメ勢は少しだけネタバレ含みます。
    一応それぞれ調べたりしてますが、留学とか病院とか知らん!わからん!って思って書いてます。
    何でも許せる方のみお読みください。
    ごりごりにブロマンスですが、距離が近すぎるので勝オルとしてます。
    今回は準備回みたいなもので、全然留学のりの字もないです。
    誤字脱字は気づき次第直していくのでそれまでは脳内補完お願いします…

    あんたと君との5年間(仮)① 放課後の教室には、まだ生徒たちの声や足音が微かに響いていた。
     窓の外から差し込む夕陽が教室の床を橙に染めている。
     そんな教室の中に低く静かな声が、教室に落ちた。
    「お前、本当にいいのか?」
    「いンだよ、校長からの説明も聞いた、親の了承も得てる」
     まるでそれ以上の議論は無駄だと言うように、一切の迷いなく、爆豪は答えた。
     その返答に相澤はため息混じりに頭を掻き、手元の調査書に視線を落とす。
     そこにはたった一行。第一希望のところに「アメリカ留学」とだけしか書かれていない、大雑把とも大胆ともとれる進路の希望が書かれてあった。
    「最近腕の調子はどうなんだ」
     爆豪の右腕は、死柄木弔やオール・フォー・ワンとの戦いで受けた傷のせいで、今も完全には動かない。
     爆豪は一瞬、右腕に視線を落とすが、すぐに顔を上げて口の端に得意げな笑みを浮かべた。
    「検査する度、毎回医者共には驚異的な回復だっつって言われてる」
     その笑みには、爆豪らしい自信と挑戦的な輝きがある。
     しかし、相澤の目は鋭く、そこに甘さがないか探るように光る。
    「でも、まだまだ満足に動かせないんだろう。わざわざ向こうに行かなくたって……」
     相澤が言葉を続けようとすると、爆豪が遮る。
    「今のままこっちで治して、それから活動してたら、俺は、あいつらに出遅れる」
     爆豪の声が、強く、静かな教室に響く。
     揺るぎない決意。
     相澤はその目に宿る炎のような意志を見逃さなかった。
     爆豪は言葉を続けていく。
    「あいつらが卒業してヒーローとして動くのに、俺はまだスタートラインに立つことも出来ねぇなんて、絶対ぇ嫌だ」
     その言葉は、爆豪の心の奥底から迸る叫びだった。
     相澤は一瞬、目を細め、爆豪の顔を見つめる。
    「だから、ヒーローの本場に?」
     相澤の声は静かだが、どこか試すような響きがある。
     それに爆豪は迷わず頷き、目を輝かせる。
    「おう、腕なんざさっさと治し殺して、実践積んで積んで積みまくって、俺はNO.1ヒーローになる」
     その言葉の愚直さは、入学当初から変わらない。挑戦的で、ひたすらに真っ直ぐな瞳。
     この少年は、誰に何を言われても、決して道を曲げないだろう。
    「はあ、わかった、好きにしろ」
     相澤は肩をすくめ、疲れたように手を振る。
    「そもそも確認や相談の場であって、別にお前の進路を否定してるわけじゃない。だから、お前がやりたいようにやってこい」
    「ハッ! ったりめーだわ!」
    「ただまあ、その態度は何とかした方がいいな?」
    「あァ!?」
     爆豪が吠えるが、相澤はそれを無視して書類を手に取り、淡々と続ける。
    「じゃあもう一度細かく確認していくぞ」
     注意事項や必要書類の説明が始まる。
     爆豪は不満げに腕を組みながらも渋々耳を傾け、共に確認していく。
     教室には紙をめくる音、相澤の落ち着いた声と、爆豪勝己の無愛想な相槌が響いた。
    「……確認事項はこんなもんか。じゃあ以上で面談は終了だ。お疲れ、気を付けてな」
    「すぐそこだっつの……」
     爆豪はぶっきらぼうに言いながら席を立つ。
     どいつもこいつも過保護だと心の中で毒づき、教室の扉に向かう。
    「じゃあな先生」
    「ああ、また明日な」
     扉が閉まる音が教室に響き、静寂が戻る。
     相澤は一人、机に肘をつき、爆豪の姿を思い出す。
    (憧れを追ってるだけかと思ったが……。まあ、あの様子だと大丈夫か)
     強気な爆豪の顔を思い出し、相澤の口元が安堵と信頼でわずかに緩む。
    「……そういやあいつ、あの事知ってんのか?」
     一人しかいない教室では、そんな相澤の呟きは誰にも届かなかった。
     
     
     
     爆豪は校舎を出ると、寮には戻らず、その足で学校の外へ向かった。
     向かうは病院。進む爆豪の足は、迷いがない。
     検査もないのに病院に来るのは初めてのことだった。
     病院の廊下は、消毒液の匂いと静けさに包まれている。
     爆豪は目的の病室の扉の前で立ち止まり、静かにノックする。
    「どうぞー」
     中から返ってきたのは、間延びした、どこか明るい声。
     爆豪は扉を開けると、窓から差す陽の光に包まれた病室の中、ベッドの上で起き上がっているオールマイトがいた。
    「おや、いらっしゃい。爆豪少年。」
     意外な来客に少し驚くも、すぐにオールマイトは優しく微笑む。
     爆豪は無言で一歩踏み出し、病室を見回す。
     かつて緑谷と同室だったこの部屋は、今はオールマイトひとり。
     静かで凛としていて、けれどどこか柔らかな空気が漂う。
    「どうしたんだい? あ、検査の帰りかな?」
    「違えよ。そんなんじゃねえ」
     爆豪の目に、声に。
     緊張と真剣が滲むのを感じ取るオールマイト。
    「……立ちっぱなしもなんだし、こっちにおいで」
     オールマイトはベッド脇の丸椅子をぽんぽんと叩き、穏やかに微笑む。
     爆豪は一瞬躊躇うが、ゆっくりと歩み寄り、椅子に腰を下ろす。
    「オールマイト」
    「うん」
     爆豪の膝の上で、自然と拳に力がこもる。
    「俺は卒業したら、アメリカに留学する」
     その言葉に、オールマイトの目が一瞬大きく見開かれるが、すぐに温かな笑みが広がった。
    「いいじゃないか! 私もかつて、アメリカの地にいたものさ!」
    (……ンなこと、知っとるわ)
     だからこそ、彼は留学という道を、アメリカという地を選んだのだ。
    「でも爆豪少年、腕の方は…」
     オールマイトの気遣うような視線が、爆豪の右腕にそっと落ちる。
     だらりと下がった腕は、個性を使うにはまだ程遠い。
     爆豪は一瞬、唇を噛むが、すぐにオールマイトと向き直す。
    「それも込みだ。向こうに行っても暫くはリハビリ続きだ。けどその間に座学の単位とかはリモートやらなんやらで前倒しにして取れるだけ取って、実技は後回しにする」
     その言葉には、緻密な計画と揺るぎない決意が込められている。オールマイトは感心したように目を細める。
    「そうか、今はリモートの講義もあるんだ、ハイテクだな」
    「そんで腕が完全に治ったら、地元のヒーロー事務所にインターンに行きつつ、残りの実技の単位全部取ってとっとと卒業だ」
     そして爆豪は最も重要な言葉を口にする。
    「それで、プロの資格を取って、俺は、ヒーローになる」
     その声は、まるで宣言のように、誓いのように、静かに響く。
    「……うん」
     オールマイトの声は静かで、細めるその目は期待と誇らしさで輝き、揺れる。
    「楽しみにしているとも」
     
     
     月日は瞬く間に流れ、雄英高校の卒業式の日。
     校庭には桜が舞い、春風が柔らかく吹き抜ける。
     制服姿の生徒たちは、笑い声と涙が入り混じる喧騒の中で、別れと新たな旅立ちを迎えていた。
     いつもは騒がしいクラスメイトたちも、今日はどこかしんみりとして、ノスタルジックな空気が漂う。
    「あーあ、卒業かぁ」
    「みんなと離れたくねぇよぉ~」
    「まあ、みんな連絡先知ってるんだし、いつでも会えるって」
     だが、誰かがぽつりと呟く。
    「でも、爆豪は…」
    「あ?」
     みんなからの視線に、爆豪は鋭い視線を返す。
     突然自分の話になり、眉をひそめた。
    「え――ーん寂しいよばくごー!」
    「何でお前だけ海外行っちまうんだよー!」
     上鳴と切島が一斉に爆豪に飛びつき、もみくちゃにする。
    「クソが! ひっつくなウザってぇ!」
     そこに面白がった他のクラスメイトたちも加わり、あっという間に爆豪は騒ぎの中心に。
     そこから何とか皆を引き剥がし、逃げ出した。
     向かったその先に、偶然、オールマイトを見つける。
     車椅子に座ったオールマイトは、遠くの喧騒を愛おしそうに眺めている。
     爆豪が近づくと、オールマイトが気づき、顔を上げる。
    「爆豪少年」
     今日の春風のように柔らかく、ふわりと笑うオールマイト。
    「卒業おめでとう」
    「……何回も聞いたわ」
     爆豪はそっぽを向き、ぶっきらぼうに答える。
     憧れの人に門出を祝ってもらうことのむず痒さとほんの少しの照れ。それがいつもの悪態をつかせる。
     オールマイトはそんな爆豪を見て、穏やかに笑う。
     すると、オールマイトが突然何か思い出したように「あっ」と声を上げた。
    「ねえ爆豪少年、そういえば聞きたかったんだけど」
    「何だよ」
     爆豪が怪訝そうにオールマイトを見やる。
    「君がアメリカに行くのっていつ?」
    「あんたもその話か。今日から一週間後だ」
     爆豪の答えに、オールマイトの顔がぱっと明るくなった。
    「えっ、ほんとかい!?」
     やけに嬉しそうなオールマイト反応に、爆豪は少し首をかしげる。
     そしてオールマイトはそのまま続けた。
    「実はね、私もその日からアメリカなんだ!」
    「……はっ?」
     初耳かつ衝撃の言葉に、爆豪の目が大きく見開く。
    「私も向こうの病院でリハビリするんだ! いやぁ、アメリカに留学するって聞いてた時から、タイミング合えばいいなぁって思ってたんだ!」
     爆豪は言葉を失い、ただ困惑しながらオールマイトを見つめることしか出来ない。
    「いや、えっ?」
    「向こうでもよろしくなっ、爆豪少年!」
     オールマイトの笑顔は、まるで太陽のようだ。
     しかし爆豪の頭の中で、情報がぐるぐると渦巻く。
    「はァァ!?」
     その絶叫は、桜の木々を揺らし、校庭に響き渡る。
     春風が吹き、ふたりの新たな門出を祝うように、桜の花びらがふたりの周りを舞うのだった。
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    ヰ不🍀

    DONE全て捏造。
    アニメ勢は少しだけネタバレ含みます。
    一応それぞれ調べたりしてますが、留学とか病院とか知らん!わからん!って思って書いてます。
    何でも許せる方のみお読みください。
    ごりごりにブロマンスですが、距離が近すぎるので勝オルとしてます。
    今回は準備回みたいなもので、全然留学のりの字もないです。
    誤字脱字は気づき次第直していくのでそれまでは脳内補完お願いします…
    あんたと君との5年間(仮)① 放課後の教室には、まだ生徒たちの声や足音が微かに響いていた。
     窓の外から差し込む夕陽が教室の床を橙に染めている。
     そんな教室の中に低く静かな声が、教室に落ちた。
    「お前、本当にいいのか?」
    「いンだよ、校長からの説明も聞いた、親の了承も得てる」
     まるでそれ以上の議論は無駄だと言うように、一切の迷いなく、爆豪は答えた。
     その返答に相澤はため息混じりに頭を掻き、手元の調査書に視線を落とす。
     そこにはたった一行。第一希望のところに「アメリカ留学」とだけしか書かれていない、大雑把とも大胆ともとれる進路の希望が書かれてあった。
    「最近腕の調子はどうなんだ」
     爆豪の右腕は、死柄木弔やオール・フォー・ワンとの戦いで受けた傷のせいで、今も完全には動かない。
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