夕立にスキップ 空を見上げて、北沢はぐみは一人溜息を吐いた。灰色の空からは、激しく雨が降り注いでいる。雨はベンチの屋根を叩きつけ、グラウンドをあっという間にぬかるみにしていく。
夏休みに入って最初のソフトボールの練習に、すっかり舞い上がっていたのがつい数十分前。来週末には、試合を控えていて気合も入っていた。
今日の分の練習はとっくに終わったのだが、なんだかもう少しだけ練習したい気分で。帰り支度を整えるチームメンバー達に手を振って、一人自主練習に打ち込んでいた。そしたらこの有様だ。
グラウンドに居残りしたことを、少しだけ後悔する。両手にはバットとグローブ。傘なんて持ち合わせていなかった。
「濡れて帰るしかないかなぁ……」
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