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    ekri_relay

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    書いた人→まみや

    ハロウィンとか相談所(4)「臭うな…」
    床に落ちたままエクボが唸った。
    「やっぱり…分かるか?」
    「ああ…さすがに…」
    「そうか…バレないようにこいたつもりだったんだが…」
    「お前の屁の話じゃない!」
    エクボはようやく床から浮かび上がり、小さな手をにゅっと出して鼻を押さえながら霊幻と距離を取った。
    ───悪霊に臭いって分かるのか…?
    と霊幻は思ったが、この死んでいるのに生きているつもりの悪霊なら匂いくらい分かるのかもしれない。
    「そうじゃねぇよ。あの市長がくせぇってことだ」
    「そうだな!もちろんそれは俺も思っていたぞ!」
    「嘘つけ、出る気満々だったくせに…」
    しらーっとエクボが見やると霊幻はわざとらしく咳払いをして、自分のデスクに戻った。さっきまでネトサをしていたパソコンを覗き込み、何やら打ち込む。
    「調味市主催のコンテストがあるのは本当みたいだな」
    市のホームページには有名なフリーイラストを使った楽しそうなお祭りのお知らせが表示されている。
    「協賛は…大体市内の商店みたいだな」
    「お前さんの相談所もそのうちの一つってことか?」
    「そりゃあ俺だってこの調味市で営業してるんだし、税金だってちゃんと払ってる」
    「だからってわざわざお前さんに審査員なんか頼むか?」
    「それがなぁ…」
    霊幻だって分かっている。これは何だか胡散臭い話だと。
    「お前さんがそれを言うかぁ?まあ、いい。明日からちょいと探りを入れてみよう」
    エクボは悪霊だから、どこにでも出入り出来るし、普通の人間には視認出来ない。市役所でも警察でも入り放題なのだった。
    「そうだな…俺はここの営業もあるし。エクボ、頼んだ!」
    「なんでも俺様に頼りやがって!」
    文句を言いながらもこうして必要とされるのは、エクボとしても気分は悪くない。
    「そもそも、ハロウィンってのは何なんだ?俺様が生きてた頃にはこんな祭り無かったぞ?」
    「生きてる頃の記憶なんか無いくせに…」
    そう言いながらも霊幻にもよく分かっていなかった。
    「うーん…ハロウィンとは……?毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭のことである。一年のこの時期には、この世と霊界との間に目に見えない「門」が開き、この両方の世界の間で自由に行き来が可能となると信じられていた。この日には死者の霊が家族を訪ねてくるといい、それに紛れて現れる悪しき精霊や魔女から身を守るために仮面を被ったのが仮装の由来である」
    「お前さん、それ読んでるだけじゃねぇかよ」
    霊幻のパソコンにはお馴染みのネット百科事典が開いている。
    「へぇ〜。ハロウィンってお菓子を食べたり仮装をするための祭りじゃないんだな。祖先の霊が…っていうのは日本のお盆に似てるな。まさにお前のための祭りじゃないか、エクボ」
    「俺様は死んでるけど死んでねぇ。だから迎え盆で帰って来ることもない」
    「宇宙から帰ってきたじゃん」
    「それとこれとは別だ!」
    確かに盆でもハロウィンでも死者が蘇るのは期間限定で、そのままこの世に居座るエクボとは違うのである。
    ───違う。けれど似てる。
    霊幻は口に出さずに思った。
    「とりあえず明日から俺は参加する方向で準備を進める。エクボは何か裏が無いか調べてくれ。よし、じゃあ今日はそろそろ閉めるか」
    そろそろ営業時間も終いである。霊幻はパソコンを落として店仕舞いを始めた。
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