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    ekri_relay

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    書いた人→ブミ

    ハロウィンとか相談所(24)「こいつはラテン語をベースにした言語で書かれてる。この世界とは別の世界の言葉だ」
    「霊幻、何でお前が読めるんだ?」
    「その吉岡さんに見えるのエクボだよ。俺の能力で写したやつ。念写だ」
    「俺様が!?何で宣教師っつーか、こりゃ神父みてえだな。悪霊の俺様が神父?」

     エクボの疑念は深い。エクボの手に渡った手紙と絵は風化したように一瞬で塵となる。霊力が使えない今のエクボに出来る事ではない。時限装置のようにこの異空間で開封されるのを待ち、読み手に渡った事を受けて消えたのだろう。

    「夢だと思ってたんだ。全部夢だと。…今になって思い出した。この手紙が鍵だったんだ。記憶を引き出す為の」

     霊幻の視線は宙を彷徨う。人が過去を思い出す時は視線は左上を向く習性がある。左上に向けられた霊幻の目は、遠くに浮かぶ雲を見るように細められていた。

    「今の世界とは繋がってないから過去とも言えるか分からないけど、エクボは人間だった。顔や姿は吉岡さんそっくりだけど、中身はエクボだ。頬の赤い痣もある。表の顔は宣教師、つまり神父だ。子どもたちを集めて勉強を教えたり世話をしたりしてた。裏の顔は…エクソシスト、悪魔や吸血鬼祓い」

     今のエクボの真逆の存在だったという事だ。
    霊幻の言葉にエクボは、今の吉岡の姿が過去の自分と同じものであった事を思い出し始めていた。吉岡とは何らかの理由で魂が分離して、彼とエクボは全く別の存在になったのだろう。
    エクボもまた、足元から這う不安のような影に自分が引き込まれていくのを感じる。得体の知れない黒い靄に吸い込まれるかのような心もとなさを覚えていた。
    過去を思い出す事が、こんなに苦しく重いものになるとは。

    「お前は俺の敵だった。俺を祓う為に中央教会から派遣されたエクソシスト、それがお前だ」

     私を殺してください。愛しい人へ。
    流れる水を超える事が出来ない、という手紙に込められた意味。

    「お前に殺される事、始末される事を願って書いた手紙なんだよ。やっと思い出した」

     あの夢は幻覚ではなかった。
    地続きになっていない過去の自分とエクボに起きた出来事だった。
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