わ、おめのこどすぎだはんで、わんつかばしでもおべてでけろ「源一郎って青森出身だっけ?」
寮の食堂での出来事だ。今日の夕食は、乙音、源一郎、唯の三人で同じ食卓を共にしている。
「ああ、そうだ。」
「青森って青森弁みたいなのあるよね!何か言ってみてよ」
「えっ、ボクも源一郎の青森弁聞いてみたいさあー」
「たまに言われるが、言っても分からないと思う」
「そこをなんとかー!」
冗談混じりに拝み倒す二人を他所に、源一郎は食器を整え、手を合わせて「御馳走様でした」と食事を終えた。そして唯の元へ立ち上がって歩き出したかと思えば、屈んで耳元へ
「わ、おめのこどすぎだはんで、わんつかばしでもおべてでけろ」
と言い残すと、踵を返し源一郎は下膳へ向かってしまった。
どうせ言っても伝わらないのなら、好きに言わせて貰おう
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