おつかれジェイドリーチ ジェイド・リーチは疲れていた。
疲れるなどとヒトらしい事とは無縁の、完璧主義者の仮面を被った男があけっぴらに、なんのてらいもなしに、麗しいかんばせのつるりとした唇から疲れたと零した。
オンボロ寮のだだっ広い談話室にぬめっと現れたかと思うと、古ぼけたソファの上に古代兵器が寿命を迎えたように音もなく硬いマットレスに倒れ伏した。
しばしの間固まっていた監督生は、一緒に課題のお供としてツナとニンニクの限界ペペロンチーノを作っていたグリムと顔を見合わせた。
そうして出来上がったほかほかと湯気の立つパスタを、グリムと目配せして取り分ける。
許可がおりたので2人分のパスタを3分割にして、ほんの少し自分の分から多めに取り分けたパスタを微動だにしない大男の前に置いた。
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