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    Mea44981629

    オクシア

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    Mea44981629

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    いつも余裕のあるオビさんばっかり書いてたのでたまには初々しいオビさんを書いてみたかったオクシア

    オクシアSS※バージンオビさんのベタベタな初めて台詞セット
    ※かっこいいオビさんはいない






    バスルームからリビングへ戻ると、既にシャワーを済ませたオビがテレビの前のソファに腰掛け、雑誌を捲っていた。点けっぱなしのテレビからは、安っぽいメロドラマが流れている。

    「よーオビさん、出たぜ」
    「おかえりなさい」

    肩越しに振り返って笑うオビは、普段のきっちりとしたイメージとは打って変わって、シンプルなオーバーサイズの白いスウェットを着ている。普段着を見る仲になってから久しいが、良い男は何を着ても良い男なのだと、改めて思い知らされる。

    「何か飲むかい」
    「貴方が飲むなら同じものを」
    「オーケー、じゃあビールで」
    「勿論」

    基本的に外食しかしないので、冷蔵庫はもっぱら酒蔵代わりになっている。冷えきった瓶ビールを2本掴んで取り出すと、栓抜きで栓を外しオビの隣へ向かう。瓶を手渡しながら傍らへ腰掛けると、オビからふわりと自分が使っているボディーソープの匂いがして、思わず息を飲む。

    付き合い自体は随分と長いが、恋人としての関係はまだまだ浅い。こうしてお互いの家に泊まるようになったのも最近のことで、オビから自分の匂いがするという事実は、まだ若いオクタビオの気持ちを大いに昂らせる。

    「シルバ?」
    「…わり、何でもねぇ」
    「まだ寝るような時間じゃないですよ、飲みましょう」
    「おうよ」

    そんなオクタビオの心情を知ってか知らずか、オビは焚き付けるように言うと雑誌をローテーブルに置き、瓶を掲げた。軽く飲み口をぶつけて乾杯をし、冷たいビールを一気に喉へと流し込む。

    バーで馬鹿騒ぎしながらテキーラのショットを呷ったり、夜景を見ながら高級カクテルを飲むよりも、こうしてオビとソファで肩を並べて、他愛もない話をつまみに飲む方がよっぽど酒も美味くて楽しいと、気付けたのは幸せなことだと思う。

    「シルバ、まだ飲みますか?」

    ふと、既に一本目のビールを空け終わったオビに問われて、自分はまだ半分ほどしか飲んでいない事に気が付く。珍しいこともあるものだと急いで瓶を空にすると、取ってきますねと立ち上がったオビのその腕を反射的に掴んでいた。

    「シルバ?」
    「あ…いや、…なんつーか、俺はもう良いや」
    「おや、珍しいですね」
    「な、それよりオビさん、その…」

    握った手から伝わる熱に、心音が速まるのが自分でも解る。オビには伝わってしまっているだろうが、隠すことなど出来ないのだから、しょうがない。

    「どうしたんですか、そんなに緊張して」

    笑いながらソファに腰を下ろしたオビの腕を、ゆっくりと離す。微笑みながらこちらを見詰めてくる青い瞳に、酔いが回るようにくらくらとする。具合でも悪いんですか、と首を傾げるオビの前に身を乗り出して、唇を重ねた。テレビの音が遠くなる。

    驚いたように目を丸くしたオビは、けれどもすぐに目蓋を閉じてそっと受け入れてくれた。それが嬉しくて、つい先を求めてしまう。長い指を絡め取り、掌を合わせる。唇を割って舌を差し込んだ瞬間、びくりと震えた身体に押し返されてオクタビオは身を離した。

    「し、シルバ」
    「嫌か?」
    「嫌じゃ、ないですけど」

    珍しく、少し動揺したようなオビの目元はうっすらと赤く染まっている。ビールのせいなんかじゃない。
    ふと、相変わらず点けっぱなしのテレビからむずむずするような愛の言葉が流れてきて振り返ると、奇しくもメロドラマは主人公とヒロインのラブシーンを迎えていた。

    「……、」

    手を繋いで至近距離で見詰めあったまま、気まずい時間が流れる。けれど、手を離したくない。暫く無言で見詰めあっていると、オビがおずおずと口を開いた。

    「シルバ。貴方は…私と、その…セックスしたいですか」

    普段はあんなにも優雅で余裕のある表情を崩さないのに、今目の前にいる恋人は、まるで生娘の様に頬を染めて目を泳がせている。そんな姿を一人占めしている優越感と、その先へ進もうとする背徳感、そして香るボディーソープの匂い。その何もかもが、オクタビオの理性の箍を外すには十分だった。

    「したい」
    「っ、ちょっ、シルバっ!」
    「だって俺の、こんなになってんだぜ」

    そう言って、組んだ腕を自らの股間へと導くとオビが息を飲む。固く立ち上がりスウェットを押し上げるそれを確かめるように、そろそろと動く指が意図せず刺激になってゾクゾクとする。

    「……、」

    無意識にごくりと喉を鳴すと、オビは諦めた様に息を吐き、それから覚悟を決めたのか真っ直ぐにこちらを見詰めてきた。

    「…私は、男性とするのは初めてですよ」
    「俺だってそうだよ、でもちゃんと勉強してるから安心してくれ」
    「全く…貴方って人は…」

    安心させるように抱き締めながら唇にそっとキスをすると、腕の中の身体から、ほんの少し緊張が抜けるのが解る。今すぐソファに押し倒したい気持ちを何とか堪えて、テレビの音声認識システムへ電源を切るように伝えた。
    雑音の無い、静かなリビングでただ視線を交わす。どちらからともなくキスをして、熱い吐息を感じながら身体を離すとオビは消え入りそうな声で一言、呟いた。

    「…優しくしてくださいね」

    前言撤回。勉強してきたことなんて、全部真っ白になった。覆い被さるようにソファに押し倒して、少し乱暴に唇を重ねる。下着の中で主張する性器をオビの太股に擦り付けるように腰を揺らすと、スウェットを捲し上げ腹筋をなぞった。触れる度に小さく揺れる身体が、愛おしい。

    「…シルバ」
    「なんだよ」
    「…初めて見る顔です。ふふ、貴方もそんな表情するんですね」
    「なぁオビさん、あんまり煽ってくれんなよ…俺だって余裕ないんだぜ」
    「あっ、煽ってるつもりなんてないですよ、思ったことを言っただけです!」

    慌てたように撤回するのがおかしくて、ついつい笑うと腕の中で暴れられる。けれどもそのお陰で、少し冷静になることも出来た。宥めるように眦に口付けを落とし、頬を撫でて笑う。

    「優しくするから安心しろよ。でもまぁ手始めに、ベッドまで一緒に来てくれねぇかな?お姫様抱っこでもいいんだけどよ、その後俺がまともに動けるか不安なんでね」

    勢いで押し倒した手前言いづらいが、そっと手を引きながらそう言えば、オビはクスクスと笑って起き上がってくれた。エスコートするように手を引いて、ベッドルームへ向かう。電気も点けず、暗闇の中で見詰めあいそして唇を重ねる。
    心臓が、破裂しそうだ。
    まるでその心の声を聞いていたように、オビが小さく笑う声がした。




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    はじめての夜
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