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    ラク🚔🚬

    スダだったりダスだったり、ともあれツインズ推し

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    レオ誕、に託けてのダとス
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    取引「ちょっ、ちょっと待て!」
     廊下の向こう、取調室の方へと連れられてゆくその姿を認めてダニエルは大声で呼び止めた。
    「どうしたそいつ、何をした」
    「はい、カツアゲの被害者だったんですが。急に走って逃げようとしたので取っ捕まえたんです」
     助けてくれた警察官から逃げ出す。なるほど怪しい。後ろ暗いことがありますと言っているようなものだ。
    「何も答えないんで仕方なく連れてきました」
    「なるほどわかった、あとは俺が引き継ぐ」
    「は? いや、こんなことは」
    「いいから、こう見えてガキの扱いはうまいんだ」
     ダニエルは強引に手錠に繋がっているロープを奪い、その“ガキ”を引き連れて取調室へと入っていった。


     部屋に入るとダニエルは手錠を外し、椅子に座るよう相手に顎で促した。
    「すみません」
    「ったく。なんで逃げた、レオナルド・ウォッチ」
     ダニエルはぼやきながら自分もデスクを挟んで向かいの椅子に腰掛け、項垂れるガキ──レオナルドをため息混じりに見やったのだった。
     理由を訊いたもののダニエルにはわかっていた。こいつは嘘が上手い性質じゃない、本当のことが言えないから逃げたのだ。警察に言えないこと、それは。
    「“仕事中”だったのか? 監視に集中しててテメェの危険に気付かなかった、そんなところか」
    「はい、そんなところです」
     レオナルドはいっそう顔を伏せ、ほとんどデスクに突っ伏したようになる。カツアゲされたことより警察に連れてこられたことが堪えているのだろう。
     連行されるなどという事態となり、その上うっかり作戦について口走ってしまえば“上司”からネチネチとお小言をいただくことになるからだ。
     さてそうなると。ダニエルはポケットから煙草を出して思案する。その上司であり“教育係”に連絡をいれたものかどうか。
     ここに連れてこられたことはおそらくすでに他の構成員から“あいつ”へ報告が入っている。まぁ、俺に見つかったことまでは知らないだろうが。そう思うと面白くなってきてダニエルは鼻から煙を吐きつつ嘲笑う。
     そこへ、ノックの音が響いてドアが開かれた。
    「失礼します。これ、そいつのIDカードです。不正などはありませんでした」
    「おう、ご苦労」
     レオナルドのIDカードを受け取ってダニエルは持ってきた部下をじっと見つめる。
    『二人きりにしろ』
     と、言う眼差しに気付いて担当者はそそくさと部屋をあとにしたのだった。


     ドアが閉まり、カードを返す前にダニエルは何気なくそれを眺めた。こいつはあちこちでバイトもしているようだから不正は確かにないのだろう。カードの表を順に読み、ふと目が止まる。そして腕の時計を見て確認する。
    「そうか……。おまえ、メシは食ったか」
    「えっ、まさかジャパニーズカツドン?! そんなことでほだされませんよ!」
    「は? ジャパニーズ──なんだって? 今日、おまえ誕生日なんだろ。メシ奢るくらいしかしてやれねぇけど」
     そう、ダニエルはIDカードに記載された生年月日が今日と同じ日付であることに気付いたのだ。
    「ああ、ええと」
    「警戒すんな、こんなことで付け込んで何か聞き出そうなんて思ってない」
     おまえからはな。
     ニヤリと人の悪い笑みを浮かべてダニエルは端末を取り出した。そしてレオナルドがハッと息を呑む間にも慣れた様子で登録済みの番号に電話をかける。相手はそう、レオナルドの“上司”だ。
     コール三回、相手が出る。
    「よぉ。いいか、よく聞け。おまえの可愛い部下は預かった。返して欲しくばこのあと指定する店に30分以内に来い。1分でも遅れれば──わかっているな」
     と、一方的に用件を伝えて通話を終えた。


    「ちょっ……、警察が脅迫ですか!?」
     前のめりになって叫ぶレオナルドにダニエルはからからと笑って立ち上がった。
    「さぁ、行くぞ。とっておきの店を教えてやるよ。マスターはどうにも無愛想であれなんだが、味は保証する。量も多くて腹にたまる。そして何より安い!」
    「……いいっすね!」
     安いと聞いてレオナルドは前のめりになって途端に笑顔を見せた。まったくゲンキンなものだ。
     ダニエルはそんなレオナルドの肩を抱き、このあと会う相手の反応を予想しながら揚々と部屋を出た。

    (オワリ)
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