ある明け方、寒くて布団から出たくない尾形が、毛布を被ったまま勇作に跨る。
まだ明け方の時間帯で外は仄暗い。
明かりの灯らない室内、殊に毛布がかまくらの様に2人の身体に覆いかぶさっている中に在っては、互いの姿形は明確に見えない。
(もっとも、勇作はまだ夢の中なのだが。)
常ならば視覚が担う感覚の受容を別の感覚を通して行っていくのは、至極新鮮で興奮を覚えた。
(目隠しすると、こんな感覚なのかもな)
興奮含みの楽しさに押し流されるままに、尾形がやわやわと勇作の身体に指と唇を這わせて遊ぶうち、勇作自身がじわりと兆し始めてきた。
布越しに熱を感じ取った尾形は、勇作の下着の中にそろりと手を差し入れた。途端、少し低い体温の尾形を感じ取り、勇作はぴくりと自身を震わせた。
(ん……?何か……俺は夢を見ているの…かな?)
(ははぁ、身体も正直だよな…)
勇作の秘密を握る優越感と、自らの温度に反応を示す愛おしさが尾形の中で湧き上がってくる。
勢いそのままに、亀頭先端の僅かな湿り気に触れ、更に手を進めた。するとちゅぷ、くちゅ…と、一旦身体の芯に伝わった刺激を吐き出す様に、液量が増えてきた。
すると、温かな甘露が尾形の手の甲にたらり、と伝った。この感覚が増すにつれ、次第に手淫のうちに行為を留めるのが惜しい気がしてきた。
(ふふ、これからどうするかな……)
そう思案しながら布団の暗がりの中でもぞもぞと動き、次第に勇作の下半身付近迄顔を近づけた。
勇作のお気に入りの入眠用香水と、洗剤のやわらかい香りが混ざり合い、布団のドームの中でふわふわと膨らんでいる。
先程迄布団の外へ顔を出していた時には気づかなかったのだが、すっぽり全身で中に入ると、空気ごと心地よく鼻腔をくすぐってくるのだからたまらない。