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    pagupagu14

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    僕の幸せの青い鳥 愛忠
    #春の愛忠fes2021
    愛忠が喧嘩をしてビーフをする話です。一応これも童話を絡めてるとので愛忠FES用として上げます

    #愛忠
    aizhong

    僕の幸せの青い鳥 愛忠
    #春の愛忠fes2021
     はじまりは些細なことであった。けれど、以前の忠なら苦言を呈することもなかったが愛之介がゆっくり心を解きほぐした結果、忠はある宣言をした。
    「…分かりました。愛之介様、次のSでビーフをしましょう」
    「…ほう?」
    「勝った方が負けた方の言うことをなんでも一つ、聞く…ということで」
    「逃げるなよ」
    「逃げませんよ」
    そう、不敵に笑う忠にゾクリとしたものを感じたのを愛之介は静かに心の内に秘めた。
    ***
     決戦の日、キャップマンとしていつも帽子を被っている忠は帽子を腰に付けると顔を晒した。愛抱夢とスネークのビーフというのはあれ以来別におかしなことではないが今日の二人の気迫がいつもと違うことを語っていた。ブザーが鳴り、二人が走り滑る。観客に徹しているスケーター達からは驚きの声が上がった。
    「…スネーク、トーナメントの時よりも早くないか?」
    そう口にするのはチェリーで近くにいたジョー達も頷いた。視界が開けたからか、余計なことを考えずに済んでいるからか、愛抱夢と大きく距離を取って前を走り滑っている忠ことスネークは本来の力を取り戻したようにのびのびして見えた。
    愛之介は、愛抱夢は気分が高揚してしまっていた。
    忠が本気を出しているとわかっていたから。あのトーナメントの時も、愛之介が少しずつ以前の愛之介に戻りだした日からも忠が本当の意味で本気で滑ることはなかった。だが、今日は本気を出している。そう思えた。
     愛之介はたまに思う。忠は鳥のようだと。
    自由に羽ばたいて飛び立ってしまう。愛之介はそんな忠を鳥籠の中に収め、手足に枷をつけ縛り付けているのだと思う。自分は外の世界で生きることは出来ないから。自分はこの温室以外では咲けない薔薇なのだから――と、そう思うことがある。
    「早いじゃないか」
    スピードを上げ、忠に追いつき声を掛けると忠は笑う。
    「ええ、あなたに勝つためですから」
    「そんなに僕にしてほしいことがあるのか?」
    「ええ。それに…あなたと本気で滑ってみたいと思っていたんです」
    そう言ってまたスピードを上げる。グングンと進んで背中すら見えなくなってしまう。幼少の頃、追いつきたいと傍に置いておきたいと願った背中だった。
    よく愛之介は忠のことを『犬』と呼ぶが本当の意味では鳥だった。忠は愛之介にとっての『青い鳥』なのだとこういう時は特に気づかせられる。近しい幸福、ずっと昔から気づいていたのに無視していただけ、知らないフリをしていただけなのだ。
    イヴなんていない。でも、幸せの青い鳥はすぐそばにいたというのに――。
     ラストスパート。
    Sにて初めての雪が降った時のように忠は無茶な道を滑る。後ろからは愛之介の忠を呼ぶ声が聞こえる。無意識に忠は笑みを描いていた。
    聞こえなくともいい、そう思いながら忠は言葉を紡いでいた。
    「いいですか。愛抱夢様、あなたにスケートを教えたのは私で――あなたが愛するスノーが出来ることを、私が出来ないわけがないということを知っておいてくださいな」
    宙でくるりと一回転する。それは愛之介の瞳にきらきらと映っていて、噎せ返るようなけれど愛おしい薔薇の香りがしたような気がした。
    ガッ、と音を立てて綺麗に着地をした後呆然とした様子で愛之介は忠の次にゴールインする。
    「…お前の勝ちだ」
    けれどちっとも悔しそうではなく、そんな主人の顔を見て忠はキャップ帽をかぶり直した後満面の笑みを浮かべ返事をした。
    ***
     「――で?お前の願いってなんだ」
    ビーフの後愛之介が問うと忠はビデオカメラを構えにっこりと笑った。
    「『忠、大好き』と言ってください」
    「は?」
    「だから、『忠、大好き』です。愛之介」
    「いや、聞こえているが…え?なんでだ?お前は僕に謝罪の言葉を要求するもんだと思っていたが…」
    「ああ、あれですか。別に怒っていませんよ、私も愛之介様も互いの事を大事にしてほしいと思っていたのは事実ですし、そこに喜びはあれど怒りはありませんよ。いい思い出になりましたしね」
    「…そうか」
    深く椅子に座り直すとじ、とビデオカメラ越しに愛之介は忠を見やる。
    「それで、その要求にどんな意味があるんだ」
    「…言わなくては、なりませんか」
    「ああ」
    「…愛之介様と離れている間の栄養分にしようかと」
    「は、」
    今度は椅子からずり落ちてしまいそうだった。秘書兼幼馴染兼恋人の忠が突然そんな愛らしいことを言ってきたことに対して動揺を隠せない。そんなことのためにあれだけの本気を出したのかと思うと笑いが込み上げてくるほどだった。
    「…ですから、愛之介様。勝者は私ですので、お願いします」
    はーー…と愛之介は深くため息を吐いた後忠の方を見る。にやりと口元は弧を描くと、甘さを秘めた瞳を忠に向ける。
    「忠、」
    「!」
    びく、と忠の身体が震えているのが分かり笑ってしまいそうになりながら抑えて言う。
    「愛している」
    ピ、とビデオが止まった音を聞いて今の今まで撮っていたのか…と呆れが口に出そうになる。
    「大好き、ではありません…」
    そういう忠の声は身体は震えていて今度こそ思い切り笑ってしまった。
    「別にいいだろう。愛しているも大好きと同じ意味だ」
    「ですが…」
    言い淀む忠の方に歩み寄ると愛之介は忠の腕を引いてベッドに身を沈めた。
    「あ、愛之介様っ?!」
    忠の声は上ずっている。手元には未だビデオカメラが握りしめられたままで。
    「――なら、お前が僕の口から引き出してみればいい」
    「…卑怯です」
    「どこが」
    「愛之介様はいじわるです」
    「既に知っているくせに」
    そう言って未だビデオカメラを構えたままの忠の唇にキスを落とす。あれだけの殺し文句をもらっておいて、我慢できたことを褒めてほしいものだ。
    -Fin-
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    pagupagu14

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    #春の愛忠fes2021
    愛忠が喧嘩をしてビーフをする話です。一応これも童話を絡めてるとので愛忠FES用として上げます
    僕の幸せの青い鳥 愛忠
    #春の愛忠fes2021
     はじまりは些細なことであった。けれど、以前の忠なら苦言を呈することもなかったが愛之介がゆっくり心を解きほぐした結果、忠はある宣言をした。
    「…分かりました。愛之介様、次のSでビーフをしましょう」
    「…ほう?」
    「勝った方が負けた方の言うことをなんでも一つ、聞く…ということで」
    「逃げるなよ」
    「逃げませんよ」
    そう、不敵に笑う忠にゾクリとしたものを感じたのを愛之介は静かに心の内に秘めた。
    ***
     決戦の日、キャップマンとしていつも帽子を被っている忠は帽子を腰に付けると顔を晒した。愛抱夢とスネークのビーフというのはあれ以来別におかしなことではないが今日の二人の気迫がいつもと違うことを語っていた。ブザーが鳴り、二人が走り滑る。観客に徹しているスケーター達からは驚きの声が上がった。
    「…スネーク、トーナメントの時よりも早くないか?」
    そう口にするのはチェリーで近くにいたジョー達も頷いた。視界が開けたからか、余計なことを考えずに済んでいるからか、愛抱夢と大きく距離を取って前を走り滑っている忠ことスネークは本来の力を取り戻したようにのびのびし 2383

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