沈みゆく夢にさよならを 銃声が響き渡る。
再び照準を合わせて引き金を引く。銃に込められていた弾が、目には見えない速さで飛んでいく。
無心でその動作を繰り返していくと、やがて用意した弾が底をついた。深く息を吐いて、青年は構えていた銃を下ろす。ふと、自身の背後に気配を感じて振り返り、彼は少しだけ目を見開いた。建物の入り口の横に、見慣れた仲間の姿がある。
「……どうしたの、イアン」
青年、シキはイアンに声をかけながら、視線を落として射撃用のイヤーマフを外し、訓練の後片付けを始める。
「それはこちらの台詞だ」
仁王立ちして腕を組んだまま、イアンはシキに言葉を返した。シキはイアンから目を逸らしたまま、一瞬だけ動きを止める。
「必要なことを……やってるんだ」
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