片想い 一虎くんが居なくなった。
この時期になると一虎くんはいつも場地さんの前から姿を消す。ハロウィン前後の約二週間。それは大人になった今も続いている。
場地さんと一虎くんの関係が親友から恋人に変わっても、それでもやっぱり一虎くんはハロウィンが近づく度に場地さんから離れていく。二人で同じ家に住むようになってからも、一虎くんは家を飛び出て場地さんに近づかなくなる。
「一虎くん、帰りませんか」
だからもう、こんな風に一虎くんのところを訪ねるのも慣れたものだ。
「…ムリ」
一虎くんがマイキーくんに後ろから抱きついたままそう言った。マイキーくんは一虎くんの頭を優しく撫でている。
…あ、場地さんが見たら怒りそうだな。
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