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    Seiji071

    @Seiji071
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    Seiji071

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    多分双子じゃない沈九と沈垣。
    前提で双子無いと最初は絶対仲悪いだろう二人の話。

    #人渣反派自救系统
    scumVillainSelf-SavingSystem

    悪魔の証明どうしてこうなったとツッコミを入れ続けて幾星霜。
    前世?で憤死なのか窒息なのか、アナウンスされるがまま死んだ俺は何故か『頑張って物語を完成させてね☆』と言う無茶振りを受けこのエロハーレム小説狂傲仙魔途の世界に沈垣としてログインした。
    目覚めた瞬間、そこは小説の舞台である蒼穹山派清静峰で、顔も変わって、でも名前はそのままに入山試験なるものを受けていた。どゆこと?は?と混乱の極みに居た俺を更に混乱させたのは更にその後。
    系統にお前は未来の沈清秋だと言われた挙句、でも本家本元人渣野郎の沈清秋も居るから一緒に頑張ってねと無茶振りされた。
    「今起こった事をありのまま話すぜ…」
    なんて呑気に感想を言う間もなくご本人さまとご対面して、水桶にて確認した自分と同じ顔をした顔面偏差値ぶっ壊れている男は小説通り性格もクソだった。
    顔がいいのに、このひねくれ具合。
    第一声が「貴様の顔の皮をひっぺがせ」的な台詞だったのは未だに忘れない。因みに補足だが、かなりマイルド表現にしている。
    「オレと同じ顔でヘラヘラと周りに笑うなゴミが」
    「HAHAHA。お前こそ口汚い言葉を吐き出すなこのクズ」
    とまぁ、上記のような言い合いが日常茶飯事になる程度の御付き合いになるのにそう時間はかからず、ゴミがクズがと俺たちの相性は最低最悪である。
    そんでもって更に悪いお知らせをくれたのが、お世辞にも良い師では無かった清静峰の先代峰主の存在だ。
    彼は俺達を見て双子かと問うて来たが、こんなクソほど性格のひねくれた人渣野郎と一緒にしてくれるなと全力で抗議した……けれど良い師では無い先代はこちらの意見など欠片も汲み取ってくれず、俺と沈九は何かと一緒くたにされ続けた。
    俺はこんなクズさっさと人豚なりなんなりにされてしまえと思っていたが、何と系統は俺も未来の沈清秋だと主張し、あなたも両手足もがれちゃいますよ。連帯責任♡とか言うのでログ版を思いっきりぶん殴った。
    「なんっっで!!俺が!アイツの暴挙の責任負わないといけないんだ!!!」
    タチの悪い冗談はおやめになってと訴えたが、系統は「お前も人豚になるんだよぉ」と言う文字を吐き散らかすだけで絶望しか与えてくれない。
    あまりの絶望さに真っ青になった俺はその日物の見事に寝込んだ。寝込んだら、顔に水でぐしょぐしょに濡らされた布を沈九に掛けられて真面目に死にかけた。いっそ殺せと思った次第です。
    「貴様が使えないからオレが貴様の分の余計な仕事まで負う羽目になった。己の体調管理すらもまとに出来ないのかこのゴミめ」
    罵詈雑言の嵐を仏頂面で吐き捨てられ、起き上がれない無力な俺の口にお粥と言うなの米が粉砕された液体のりみたいな食い物を無理矢理レンゲで流し込まれて、奥歯で溶けていなかった岩塩をゴリッとしちゃって歯もかけた。沈九テメェいくら俺がお前と同じ顔で気に入らないとは言え、ここまで弱った人間にトドメ刺すような真似するとか悪役の素質しかねぇな!!!
    絶許。
    お前は絶対に許さない。
    そんな真似をされたが、沈九の思惑通りに怒鳴り散らすのも癪だったものだからあえてこれでもかと言う笑顔で「ありがとう。わざわざ俺のために用意してくれたんだな」と嫌味をたっっっぷり込めて言ってやったら、案の定「フン。軟弱者が」と吐き捨てられる。
    ムカ着火ファイヤーしそうになるのを鍛えに鍛えた表情筋の下に隠して最後までにっこにこで対応してやれば、心底気持ち悪そうな顔で沈九は消えていった。
    欠けた歯も消えていった……さよなら俺の永久歯…。


    沈九から嫌がらせマックスな看病を受けて、このまま看病(…)を続けられると手が滑っちゃった☆と殺されかね無いので気合いで早期復活した。
    欠けた歯は復活しませんでした。ホントまじ許さねぇ。
    しかし失くしたものはあったが俺は一つこの一件で学んだことがある。
    今まで数多と罵詈雑言の言い合いを繰り広げてきた俺と沈九。何を言っても鼻で笑うか、もしくは倍返しよろしく終わらぬ言い合いが続くだけだった。けれど今回俺の面の皮を総動員してにっこにこスマイルゼロ円対応をしてやった所、苦虫を噛み潰した顔で押し黙ることが判明。
    やったね!垣ちゃんは新しい嫌がらせを手に入れたよ!!
    そんな訳で嫌味の応酬に疲れていた俺はスマイルの押しつけを実行した。
    「その程度の事も出来ないのか。哀れな奴」
    「ソウダネー。俺出来損ナイダカラー」
    にこにこ。
    若干棒読みになるのは許して欲しい。堪忍袋の緒にも限界ってあるんだからね。でも俺は頑張る。
    「チッ」
    「ゴメンナー」
    それもこれも、これを機に今まで張り合っていたコイツから離れる為だとににこにこ攻撃を続けている。
    このクズと運命共同体なのは嫌と言うほどシステムに脅され理解しているが、もうコイツの性格矯正して未来を掴むよりも保身に走る方が余程安全だと気付いたのだ。
    というのも、つい最近思い出した日月露華芝を使って沈九ソックリなこの身体を捨ててただの沈垣になってしまえば運命共同体から抜け出せる事に気付いたのです。
    わーい俺ってば天才!
    洛冰河が清静峰に来るまでに、沈清秋は峰主になっている。今代の峰主の代替わりまではあと十年。
    十分時間はあるし、沈九が峰主になるのはストーリー上確定しているので、そうなれば俺は清静峰の弟子から師叔となり、この清静峰から出ていく事になる。つまり野良の仙士になる。一応蒼穹山派に属している事にはなるのでその辺のちょっと仙術が使える道士よりは位が高いよ!
    エリート校を卒業したようなものかな。
    結丹は済ませて居るので食うに困ることも無いし、人生勝ち組です。
    「ふふふ……大まかな場所は覚えてるし、これで勝つる!」
    清静峰の書庫に置かれた大量の書物から竹簡木簡をも読み漁り、必要な知識は得ている。清静峰を出たあと日月露華芝を手に入れて然るべき手順を踏めば自由になれる。
    もう腸が煮えくり返るような気持ちになることも無いし、沈九と顔を合わす必要も無い。
    パーフェクトだ。
    「待ってろ俺の自由な未来」
    もう狂傲仙魔途のストーリー補完とか知らん。
    いのちだいじに、だ。

    そう思っていた頃が、俺にもありました。
    って、テンプレな台詞をまさか自分が言うようになるとは思っても居ませんでした………。


    日月露華芝を手に入れて自由な人生を手に入れると決めてから、俺は今までよりも一層修行に励んだ。
    何故かって、だって俺はこの身体を将来的には捨ててただの沈垣になる。その時の俺は蒼穹山派清静峰出身では無いので、バックボーンの無いただの仙士だ。
    そうなると生活が不安。俺としては引きこもって好きな事だけをして生きていきたいが、この世界はそんなに甘っちょろい世界ではない。
    生きて俺の自由を保証する為には知識も修為もあって困ることは無いから、詰め込めるだけ詰め込んで利用していくつもりだ。
    ただそうなると必然的に今の清静峰に居る限り沈九と競い合う事になる。にこにこ対応で距離を取り続けているが、それだけではどうにもならない競争心の絡んだ争いってある訳よ。
    剣術と雅楽は沈九が上。でも体術と文学は俺が上。知識道術はどっこいどっこい。
    気付けば師尊からも周りからも認められる清静峰の大弟子ツートップとなった俺たちは師の名代までこなす様になってきた。
    「おい沈垣。私は今日穹頂峰に師尊の名代で会議に行く。師弟たちの修練の指導役はお前が代われ」
    「そう。気を付けて。近頃魔族の動きがなにやら怪しい件と、恐らく幻花宮の騒動についての話だろう。きな臭くなって来たな」
    「己の仙門の後始末もろくに出来ず厚かましくも四大宗派を名乗り続けるうつけな集団に何を恐れる必要がある」
    言葉使いも猫被りも素晴らしい完成度を誇り始めた沈九は、着実に時期清静峰主の座を固めているなぁ。峰主なんてめんどくさい派の俺は「頑張れ♡頑張れ♡」とチアリーダーの応援のような言葉を心の中でつぶやく。
    「沈九ならば師尊の名代もそつ無く終わらせるだろうな……だが、あえて言わせて貰うが…岳七師兄にあまり醜態を見せるでないよ」
    「余計なお世話だ!!」
    貴様は黙って有象無象の相手を黙ってして居れば良いのだと吐き捨てて沈九は荒い足音を立てながら去っていく。
    やーいやーい。
    お前はアレだな。反抗期を迎えた元兄ちゃん大好きブラコン野郎だな!!だが三次元ではお呼びでないよ!

    髪を靡かせて荒い足音をたてながら遠ざかっていく沈九の、泣き所とも呼べる存在を示唆した瞬間脆くも崩れ去り被り切れず捨てられた猫ちゃんに手を合わせる。
    「ざまぁ無いな」とポロリと落ちた言葉を歩きながらも耳ざとく拾い上げた沈九が射殺さんばかりの視線を向けて来たが、今自分が何を言っても墓穴をせっせと掘るだけだと分かっているアイツは俺を睨むだけ睨んでまた歩き出した。
    「岳七師兄によろしくー」
    「…………チッ!!!」
    清静峰の弟子として入山してしばらくした頃、俺を「小九?」と呼び止め、目を白黒されたのが岳七師兄との出会いだ。それからこの沈九瓜二つな顔のお陰か、何かと良くして貰っている。
    未だにパッと見だと見分けがつかないと悔しがっている彼は、どうも沈九と縁があるらしい。
    まぁ小九(可愛い九)なんて呼んでるあたり親しいんだなとは丸わかりだけど。
    初見で俺と沈九を間違えた後、周りからも毎回絶対に言われる「双子……?」とのお言葉も賜ったが、懇切丁寧に沈九と一緒に否定しておいた。
    「誰がこんな出来損ないの真似野郎と双子だ!顔だけでも耐え難いのに、血を同じくするなんて虫唾が走る!!」
    「こんな人格性格が畑の肥料にもならない程腐りきった奴と血縁だなんて五体投地で頼まれたとしてもゴメンだ!」
    「「何だとこの人渣野郎!!!」」
    「ははははやめなさいって二人とも………いや、やはり双子なのでは…」
    最後の岳七師兄の余計な一言でその場で殴り合いが始まったのがもう遠い昔の事のようだ。
    今はね。
    殴り合いなんてしませんよ。
    お互いもっとネチネチしてるからな!!口で嘲笑い気付かれぬように貶める。ネチネチだな。うん。

    それにしても魔族かぁ。洛冰河の前の魔王って狂傲仙魔途にちょろっとだけ出てた天魔の天狼君だよなぁ。
    何してんだろ。確か原作では封印されいて、ストーリー上はネタだけ放り投げられて放置されていた奴だからほぼなにも情報が無いし、もう片方の幻花宮も何が起きているのかはさっぱりだ。
    穏やかに過ごしたいから、俺と関係ないところで勝手にどうぞって感じだ。はーやだやだ。
    魔族や幻花宮のいざこざを他人事のように考えつつ……いや、実際他人事だとしか思っていなかった。だが俺は、あともう少しで自由になれると信じていた希望を打ち砕かれたのだ。
    まさか六年越しでにフラグ回収されるとは思ってもいなかったんだ。

    そう。
    魔族のいざこざ……幻花宮の秘蔵っ子と名高かった蘇夕顔と天魔で当代魔王だった天狼君が姦通していたと言う情報と、魔王封印のため蒼穹山派の代表として助力に出たウチの師尊が死んだと言う知らせ。
    「マジかよ……え、てか沈清秋って意外に若かったのね」
    もっと長い事峰主やってるのかと思ったけど狂傲仙魔途の白蓮華洛冰河の年齢を逆算すると沈清秋、こいつ峰主
    歴意外と短かった。
    約百年は峰主やる決まりがあるのに、大体十年ちょっと位しか経験無いじゃん。十分の一だよ?その間に金丹中期まで持っていったの?やっぱ沈九化け物じゃん。
    でもまだまだ峰主ひよっこじゃないですか。
    ついこの前まで弟子だったのにアレだけ偉そうだったの?嘘だろ?
    やだー。
    ……いやでも沈九のあの性格の悪さなら納得しちゃうわ。アイツ天性の悪役だよ。元読者の俺が全力で保証してやる。
    「ま、出ていく俺にはもう関係ないし」
    あと四年余りで代替わりだったのに、儚くなられてしまった師尊には一応手を合わせ来世での冥福を祈っておいた。
    「良い師尊では無いと言いきれるけど、まぁ恨みを残さず成仏してください。そして俺が自由になるのを黙って余計なことをせずに見守ってください」
    酷いと思われるだろうが、俺の師尊に対する感情なんてこの程度である。
    代替わりが近かった事もあり後身の育成と言う名の職務の押しつけと、苦情も人の話も聞かない人だったので一応悼みはするが縋りはしない。
    そんなこんなで峰主が不在になってしまい、次の代替わりが行われるまで清静峰内で峰主代行が立てられることになった。
    つっても普段から峰主代行まがいの事を行わせられていた俺たち大師兄と呼ばれる連中は慣れたもので、弔い後は沈九を筆頭に清静峰を担っていた。
    未来の峰主様は沈九で確定なのは決定事項なので、俺はいつも通り沈九の指示を受けて修練の指導役をしたり細々とした書類整理的なことを続けつつ平穏に代替わりを待つ事にする。……いやね、ちょっと思った事がありましてね。
    天狼君が封印され、風の噂で蘇夕顔先輩が幻花宮から追い出され亡くなったと聞いたんだが…俺は閃いたのですよ。
    「あ、洛冰河を俺が保護して沈九に近付けさせなければ万事丸く収まるんじゃね?」
    と。
    洛川付近の寒村に適当な理由でもつけて行き、元凶確保しちゃえば日月露華芝を使わずとも俺自由になれるのでは?と。
    日月露華芝に移動するのも実はそれなりにリスクがあるので、安全な選択肢があるのなら個人的にはそちらを優先したい。
    原作?
    いやいや何を言っているのかね。合言葉はいのちだいじにだろうが。
    いやぁ良い事おもいつい

    pipipi
    『OOC。OOC。警告、メインキャラクター洛冰河の清静峰入山は運命られたストーリーです。改変は許されません』
    「ガッデム!!」

    現実はそう甘くは無かった。
    ふーんだ。そっちがその気ならこっちは日月露華芝使うだけだもーん。


    システムからの警告に、結局当初のプランで行くしかない事を突き付けられた俺は項垂れたが、しかしとて完全に詰んだ訳では無いのが救いだった。
    でもね。
    今まで日月露華芝を使うにあたって警告とか出なかったから油断して見逃していたんだよ。
    このシステムのクソったれが俺の逃走を安易に許してくれるほど善良では無いと言う事実をな!!!

    システムからのダメ出しをくらいつつ、月日はあっという間に流れ、峰主代行を沈九がメインで行い続け、それからちょこーっとだけ俺も手伝いながら清静峰を恙無く治め続けた。
    そして漸く正式な峰主の代替わりが行われる事になった、その日……運目は俺を地獄に笑いながら落としてくださりやがったのです。
    ぼちぼち代替わりの日だなぁとか呑気に考え、清静峰に門弟の身分で居るのも終わりだなと感慨に耽っていた俺は何故か穹頂峰に沈九と共に呼び出された。
    「何故私まで呼ばれるんだ?」
    「四の五の言わずに早く支度をしろ」
    「はいはい」
    峰主の命名式って随伴要るのか…あ、当代の峰主がうちは不在だからもしかして見届け人のような者の代わりかなと呑気に構えていた俺だが、穹頂峰に到着した後告げられた「お前ら二人で峰主な」と言う無情極まりない通達に膝から崩れ落ちそうになった。てか、半ば崩れ落ちた所を沈九に腕を掴まれて引き上げられた。
    は?
    はぁ?
    何言ってんのこの人たち?
    あんたバカァ??
    「別に峰主が同時に二人存在してはならぬと言う決まりは無い」
    呆然とする俺を他所に、何故か二人で峰主をすると言う不可解極まりない決定に異を唱える所か「是」と応えた沈九の宣言と、俺の素知らぬ所で採決されていたらしい清静峰のその他大弟子ズの後押し。更には「確かに小九を抑えるのに最適…ンンッ……いや、良いのでは無いかな。争っている訳では無いし」と新たに岳清源の名と共に蒼穹山掌門主を賜った岳七師兄の鶴の一声で俺と沈九は歴史上初となる二人で一人の峰主、沈清秋になってしまった。
    「無理です!辞退します!!新たな峰主には沈九が一番相応しいのは明白!!私のような未熟者が足を引っ張る必要はございません。前例も無い決断など、どうか御考え直し下さい!」
    「蒼穹山派きっての知恵者が何を言うんだね。沈垣、君は素晴らしい才能の持ち主だ。確かに初めての試み故不安はあるだろうが、私は小…沈九師弟と沈垣師弟なればこそ安心して前例無きことも任せられると信じているよ」
    そんな信頼いりません!!
    他の面子も頷くんじゃありません!!柳の兄貴…もう今からは柳清歌か。お前も!!サラっと沈九だけだと清静峰が潰れるとか言わないの!!!なんでお前らそんな仲悪いの仲良くしなさいって何度も俺言ってるでしょ!
    「百戦峰の!うちの筆頭である沈九が峰を潰すなんて真似するはずが無いだろう」
    「フン。どうだか。性格の悪いコイツのことだ、お前以外が静止した所で話なんぞ聞かないだろうし、何なら一人にした途端暇つぶしと称して弟子を虐待しそうではないか」
    何でそこ鋭いの!?まさかお前も俺と同じ転生仲間だったりしますか柳巨巨。と言うか沈九は峰どころか蒼穹山そのものをぶち壊しちゃうトリガーの持ち主よ!
    「不躾だぞ柳…師弟。いくら沈九とあまり仲が良くないとは言えそなたは峰主となる身。口を慎みなさい」
    「ならばお前も下知に従い大人しく峰主の座に収まれ」
    「ぐっ……!」
    ああ言えばこう言う…!
    小綺麗な美青年の癖にこの口の悪さとガラの悪さ。天は二物を与えずと言うが、顔面と剣術の才の二物を与えたがしっかり性格でバランス取りやがって。
    皆の憧れ柳巨巨の顔面偏差値の高さにはぁ!?OOCだろ!と突っ込んだ(まぁそりゃメインヒロインの兄貴だもんな。顔良いよな。ハーレム主人公の周りもイケメン揃いってもうこれ乙女ゲーかよって万回突っ込んだね!)けど、それを差引いても柳巨巨の性格……悪く言えば戦闘狂のガキ大将気質には手を焼かされた。本当にまーこの子ってば事ある毎に沈九と衝突してくれて…その度に仲裁に入り間を取り持って居たのが仇となり変な信頼感を植え付けたのか。
    口調はともかく俺に対する信頼感は本物っぽい。
    俺としては柳巨巨が死んでしまう未来を変えたいなーと思って沈九と仲良くして走火入魔を解決させたかっただけなのに。
    「沈垣。何故嫌がる」
    「逆に問おう。何故沈九はそうも簡単に受け入れるのだ」
    お前の性格上俺と一緒くたにされるのは我慢ならんだろうがと言うと、沈九は一瞬ぴたりと固まった。が、その後は俺と視線を合わせ真面目な顔で口を開く。
    「私は、これを機にお前と結誼を結びたいと考えている」
    「……はい?」
    「正直今更と言う気がするが…そも、私とお前は本当に…周りが言う通り血の繋がった双子の可能性は非常に高い。お前も親の顔は知らぬと言う。勿論私も親の顔など見た事も無い。だが、我々の顔はまさに双子のそれだ」
    結誼…即ち契兄弟になると?
    アレだけ今まで双子じゃねぇ兄弟でもねぇと吠えていたのに??
    「しかし、私と、沈九に血の繋がりがあるかも定かでは無い」
    「だが無いと確信するだけの証拠も無い。生き別れた双子であっても何らおかしくは無かろう」
    それ俗に言う悪魔の証明って奴じゃないですかやだー。
    「お前は、沈垣は……ずっとこんな人面獣心の様な私と対等に、態度も変えずに居てくれた。素直では無い私を嫌悪せず献身的に接してくれた……例え真実は分からずとも…私はもう……そなたを肉親として、兄弟として想っている」
    あ……クズでもゴミでもイケメン枠の沈九が照れ顔晒してる……あー、なにこれ。なにこれどゆこと。
    ねぇ!

    俺何処でルート間違えた!???

    pipipi
    『おめでとうございます。沈九(沈清秋)の好感度が100を超えました!シークレットステージ【二人の沈清秋】ルートが解放されました。称号【生き別れた双子】【半身の絆】を手に入れました』

    そいいいい!!!!
    はぁぁぁああぃぃいい!!?
    どう言う事だ。どう言う事なんだ。
    俺は、俺は何時からハーレム小説ではなく乙女ゲームプレイしてたのかな!?
    あとなんで沈九の好感度こんな事になっちゃったの!

    『引き続きストーリーをお楽しみ下さい』
    「ちょっとまてぇぇえええい!!」
    俺の魂の断末魔は、誰にも汲み取って貰えませんでしたとだけ言っておきます。
    もう……やだ…おなかいっぱいなの……。


    人渣反派自救系统双子編に続(かない)
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