いっしょに、部屋に篭るくらいなら外に出ようぜ、と手を取られたかと思えばあっという間に緑広がる草原のシュミレート。
一面に広がる緑に思わずして声を上げてしまう立香の隣で、相手…シャルルマーニュは満足げに微笑む。
急にどうしたの、と立香が尋ねると、理由なんてないさ…とシャルルマーニュの笑顔。
思わぬ返答に目を丸くしつつ、しかし立香は僅かに声を立てて笑ってしまった。
改めて差し出される手に立香は自分自身の手を重ね置く。
特に大きな予定もないのだから、時間は大いに取れるだろう。適当に切り上げてもいいのだろうが、立香も何だか今日は無性に歩き回りたくなってしまった。
こんなことなら、礼装などももう少し準備してきても良かったかも知れない。
それなら、行けるところまで行ってみるのもいいだろう。
「ね、今日はどこまで行く?」
立香からの問いかけに目を丸くしたシャルルマーニュ。
だが、それもすぐに重ね置かれた手を握りしめてくれ、彼は微笑んだ。
「そりゃ、マスターとだったらどこまでも!」
満面に微笑む騎士に引かれるまま、立香は雲ひとつない晴天の下を歩き始めた。