サムシング・ブルー「愛した分だけ愛されると思うな」
零のそんな独り言を聞いてしまった。
手にはいつも帽子につけているピンバッチを持っていた。
「勘違いするな」
聞きたくない言葉が零の口からスラスラと出てくる。
俺はドアノブを掴もうとして中途半端に宙を彷徨っている手を動かせずにいた。
「…ッれ、い」
盧笙の絞り出すような声でハッと我に帰る。
震える手がバレないようにしながら盧笙に外に出ようと声をかける。
「簓、でもっ」
「今行っても嫌な事しか言えんやろ、俺も盧笙も」
「…そやな」
幸い零は俺達がそばにいた事に気づいていないようで、優雅にコーヒーを飲んでいた。
「勘違いするな」
2人が外に出た後、零はまたそうやって呟いていた。
「俺が愛されるわけがない…あれは愛じゃない…俺が愛してもそれは返ってこない…」
キラキラと夕陽を反射眩しいそれを見つめながら自分に言い聞かせる様に呟く。
「勘違いするな、期待するな、愛されたいなんて思うな…」