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    せいへき

    @migireihosii

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    せいへき

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    サカ零

    ##サカ零

    存在意義自分に対して価値がない事は気づいていた。
    例えば俺がチームから抜けたとして、誰が困るのだろう。
    俺よりラップが上手い奴なんかごまんといて、代わりはすぐ見つかる。
    詐欺なんか誰も求めていないし、ヒプノシスマイクの研究だって理解し、引き継げるものがまだいないだけだ。

    どついたれ本舗のメンバーである事
    ヒプノシスマイクの研究者である事
    この2つが俺の存在意義だった。
    では、俺の目的が達成されもう研究をしなくて良くなったらどうなるのだろう。
    そうなった時にはDRBも廃止されるだろう。
    いや、エンターテイメントとして確立されたからこのまま続くかもしれない。
    なんにせよこれで1つ俺の存在意義を失う事になる。
    詐欺師になったのはヒプノシスマイクの研究の為で、研究が終わればもうやる意味が無い。
    どついたれ本舗に入るのを許された理由は監視しやすいから、だった。
    詐欺をしなくなったら、もう監視する必要もない。
    ここでもう一つ存在意義を失う。

    「恋人になってくれんか」

    「ちょ、盧笙なんか亭主関白感出てんでそれ」
    「しゃーないやろ緊張してんねんから!」
    特に何も予定がない休日の午後、盧笙の家に集まるのが習慣になっていた。
    そこでなんとなく自分の存在意義について考えていたら不可解な言葉が盧笙の口から吐き出された。
    「ほら零固まってもうとるやん」
    「俺そんな変な事言ったか?」
    変も何も恋人なんてあり得ないだろう。
    俺のどこを見てそんな事を言うに至ったのか。
    「ほらもう一回言い直すで」
    「じゃあ次簓から言ってや」
    「よしきた簓さんのパーフェクトな求婚聞かせたろうやない」
    「いや待て待てお前らどうしたいきなり」
    「あ、戻ってきた」
    「いや戻ってきたとかいいからなんだそれ」
    机の上には高級そうな見た目の指輪ケースが神々しく鎮座していた。
    「俺らから零に向けて送る愛の指輪」
    「は?」
    意味が分からない。
    愛なんて俺に向ける感情ではないだろうに。
    「やっぱ告白と同時に指輪はあかんかったかな」
    「いやでも本気やって伝えるにはこれしか無いやろ」
    ヒソヒソと2人で話す内容を聞くにどうやらこれは本気らしい。
    「悪いけどそれは受け取れないな」
    「まだ告白もしてへんのに振られた!!」
    ゴスっと音を立てて簓が机に倒れ込む。
    盧笙は指輪をケースから出して眺めていた。
    ブルーサファイアが使われたシンプルなデザインだが、華奢とは程遠い手をしている俺にも似合う様に作られている。
    清らかとは程遠い俺にブルーサファイアとは皮肉なものだ。
    「零、これほんまに受け取ってくれへんの?」
    簓とは違い冷静に聞いてくる。
    「あぁ、受け取れねぇ」
    「それは俺らの事好きじゃないからか?」
    淡々と質問を繰り返す盧笙に少し違和感を覚える。
    まるで最初からこうなる事を知っていたかのような態度だ。
    「そもそもお前ら2人とも俺の事が好きなのか?俺が良いって言ったら3人で付き合うつもりだったのか?」
    「そやで。俺ら2人とも零の事好きやから2人で告白しようって。零がどっちか1人の事好きって言ったらもう1人は身を引くつもりやったけど」
    「3人で付き合うのがベストやねんけどな」
    ギョロリと2人の瞳が俺を捕らえる。
    やけに冷めた目に体が震える。
    「まぁ断られるって分かってたけど」
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